車載用半導体の供給不足が原因で、クルマの生産の一時停止を余儀なくされる自動車メーカーが増えている。
日本のトヨタ自動車と中国の広州汽車集団の合弁会社である広汽トヨタは1月13日、部品不足のために一部の生産ラインが一時的に停止したことを(メディアに対して)認めた。なお、現在はすでに生産を再開しており、半導体不足の(今後の)影響については調査中だという。
広汽トヨタだけではない。2020年12月以降、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)と上海汽車集団の合弁会社の上汽VW、同じくVWと中国第一汽車集団の合弁会社の一汽VW、日本のホンダと広州汽車集団の合弁会社の広汽ホンダなどで、一部の車種の生産が滞るケースが相次いでいる。
生産統計にもすでに影響が表れている。例えば上汽VWは、2020年7月以降の月間生産台数が15万~16万台で推移していた。ところが2020年12月の生産台数は12万5800台にとどまり、前月より24%も減少した。
「供給不足の解消には6~9カ月かかる」
財新記者の取材に応じたある大手部品サプライヤーの担当者によれば、半導体はシリコンウエハーの投入から多数の工程を経て最終製品を出荷するまで長い時間がかかる。このため性急な増産には対応できず、供給不足の解消には6~9カ月かかるという。
つまり、2021年の中国の自動車生産は半導体不足の打撃が避けられないということだ。スイスの金融大手UBSの中国法人で自動車業界担当のチーフアナリストを務める鞏旻氏は、一部の自動車メーカーで2021年1~3月期の生産台数が計画より5%前後減少すると予想する。
半導体不足がこれほど深刻化した背景には、半導体業界のグローバルな生産体制と急増する半導体需要のミスマッチがある。
過去数年間の半導体業界の設備投資は過度に保守的であり、なかでも技術的に成熟した8インチ(200mm)ウエハー向けの生産キャパシティーはほとんど増えなかった。
そんななか、スマートフォンに代表されるコンシューマー製品向けの半導体需要が急速に拡大。以前は車載用半導体に振り向けられていた生産キャパシティーの一部を奪い取った格好だ。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は1月14日
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