韓国の現代(ヒュンダイ)自動車グループは1月15日、中国広東省の広州市に水素から電気を生み出す燃料電池システムの生産販売会社を全額出資で設立すると発表した。新会社の工場は2021年2月末に着工し、2022年下半期から量産を始める計画だ。
燃料電池車(FCV)は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)と並んで中国政府が普及を進める「新エネルギー車」の1つだ。水素と空気中の酸素を反応させて電気を起こし、モーターを駆動する。
その最大の特徴は、排出するのが水だけで空気を汚染しないことだ。1回の水素充填でEVよりも長距離を走れ、充電に要する待ち時間もいらない。
現代自動車によれば、広州の新工場は竣工時点で年間6500セットの燃料電池システムの生産能力を持ち、主に同社製のFCV「NEXO(ネッソ)」に搭載する。NEXOは2018年に発売した乗用車タイプのFCVで、2020年7月までにグローバル販売台数が1万台を突破したという。
普及目指し多数の中国企業と戦略提携
同社はFCVの発展に大きな期待をかけており、燃料電池システムの生産能力を2030年までに全世界で年間70万セットに拡大する方針だ。なかでも中国は重要な戦略市場であり、燃料電池システムの搭載先を乗用車だけでなくトラックにも広げることを計画している。
そのための布石として、現代自動車は2020年に国有電力会社の上海電力、水素専門の技術サービス会社の舜華新能源系統、新エネルギー関連リース会社の融和電科融資租賃、国有製鉄大手の河鋼集団など多数の中国企業と戦略提携を結んだ。これらの提携先と協力し、2025年までに中国国内で4000台の燃料電池トラックの普及を目指す。
中国政府が後押しする新エネルギー車のなかでは、EVが過去10年にわたって主流を占めてきた。FCVの本格普及には水素の供給網を新たに整備する必要があり、短期間でEVに取って代わるのは難しい。このため、当面の普及はトラックなど商用車の領域が先行するとみられている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は1月16日
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