中国の国有自動車最大手の上海汽車集団は11月26日、ITサービス大手の阿里巴巴集団(アリババ)および上海市浦東新区政府と共同で、スマートEV(電気自動車)の高級車ブランド「智己汽車」を発足させると発表した。EVのスマート化というグローバルな競争に参画し、主要プレーヤーの一角を占めるのが目標だ。
その第一歩として、上海汽車は同日まず浦東新区政府と智己汽車の設立に関する戦略提携契約に調印した。同社が開示した資料によれば、双方が総額72億元(約1142億円)を出資して智己汽車および関連プロジェクトに投資するファンドを設立する。
上海汽車はファンドの75%弱に相当する53億9900万元(約856億円)を、浦東新区政府は傘下のデベロッパーの上海張江高科技園区開発が25%に相当する18億元(約285億円)をそれぞれ出資する計画だ。
なお、アリババは今回の戦略提携契約の調印式に参加しなかった。上海汽車の説明によれば、智己汽車のプロジェクトはスタート時点の投資規模が100億元(約1586億円)に達する大型案件であり、将来はさらなるパートナーの投資を呼び込むという。そこから逆算すると、アリババなどから少なくとも28億元(約444億円)の出資を見込んでいることになる。
東風汽車や北京汽車も新ブランド創設
上海汽車によれば、アリババは智己汽車に出資するとともに、EV向けの次世代の電気・電子(E/E)アーキテクチャーを開発する。クルマの基本性能からドライバーの運転感覚までを高度にコントロールすることで、高級EVとしてのブランド確立を目指すという。
中国では最近、国有自動車大手が新エネルギー車(訳注:中国政府の普及促進政策の対象となるEV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の総称)の高級ブランドを新設する動きが相次いでいる。今回の上海汽車のほかにも、7月には東風汽車集団が新ブランド「嵐図」を発表。北京汽車集団の新エネルギー車子会社は、高級EVの新ブランド「ARCFOX」を立ち上げた。
背景にあるのは、アメリカのEV大手のテスラが中国で現地生産しているクルマに対抗したいとの思惑だ。業界団体の中国乗用車市場信息聯席会のデータによれば、テスラは上海工場で生産した「モデル3」を今年1月から10月までに9万2000台販売し、中国の新エネルギー車の販売ランキングで首位に躍り出た。
対照的に、北京汽車の新エネルギー車の販売台数は前年同期比76.2%も減少した。上海汽車は独自ブランドの「栄威」でガソリン車とともにEVも投入しているが、販売台数はランキングのトップ10にも入っていない。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は11月27日
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