新型コロナウイルスの世界的大流行が続くなか、「買い物天国」と呼ばれた香港の小売業界がかつてない苦況に陥っている。香港政府の統計局が2月2日に発表した2020年の香港の小売業売上高は前年比24.3%減少。1981年の統計開始以降で最大の落ち込みを記録した。
2020年12月の単月の小売業売上高は前年同月比13.2%減少し、23カ月連続のマイナスとなった。しかも、前月の11月が同4.1%減だったのと比べて下落幅が拡大した。
香港政府の報道官の説明によれば、香港での新型コロナ流行の「第4波」を抑え込むため、政府が2020年12月10日からソーシャル・ディスタンスを確保する措置を強化したことが、小売業売上高の減少幅を広げたという。
「インバウンド観光客の消費がなくなり、香港域内でも新型コロナの市中感染が収まらないなか、小売業の経営環境は短期的には困難に満ちた状況が続く」。今後の見通しについて、報道官はそうコメントした。
宝飾品や化粧品の売り上げは半減
香港旅游発展局の最新データによれば、2020年に香港を訪れた旅行客は延べ356万9000人と前年比93.6%も減少。しかも大部分は新型コロナの流行が拡大する直前の2020年1月の入境者であり、2~12月の旅行客はわずか36万1000人だった。
小売業売上高をカテゴリー別に見ると、(観光客の需要が大きい)宝飾品や化粧品の落ち込みが最も大きかった。統計局のデータによれば2020年の宝飾品・時計・高級ギフトの売上高は前年比で54%減少。薬品・化粧品は同50%減、アパレル・靴および関連製品は同41%減だった。
また、食品・酒類および飲料・タバコの売り上げは前年比12.7%減にとどまったものの、そのうち酒類および飲料・タバコに限ると同68.2%の大幅な落ち込みを記録した。
こうした厳しい数字について、小売業の業界団体である香港小売管理協会の謝邱安儀主席は次のようにコメントした。
「新型コロナの第4波に対する防疫対策が解除されていない状況では、香港市民の消費意欲の回復には期待できない。今年1~2月も深刻な状況が続いており、(将来に対して)悲観的にならざるをえない」
(財新 駐香港記者:周文敏)
※原文の配信は2月3日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら