中国の不動産業界の資金繰り悪化を背景に、多くのデベロッパーが投資縮小を迫られ、マンションなど住宅の新規着工面積が大きく減少している。中国国家統計局が11月15日に発表したデータによれば、2021年1月から10月までの住宅の新規着工面積は累計16億6700万平方メートルと、前年同期より7.7%減少した。
国家統計局は単月の着工データを公表していない。そこで、財新記者が10月に発表された1~9月の累計データと比較したところ、10月の新規着工面積は前月同期比33.1%減の1億3800万平方メートルにとどまった。この減少幅は2018年3月以降で最大だ。
これにより、住宅の新規着工面積は7カ月連続で前年同月比マイナスを記録。特に7月以降は4カ月連続の2桁減となった。
不動産会社の「高回転戦略」は継続不能
統計データは不動産会社の社員たちの肌感覚とも一致する。財新記者の取材に応じた中堅デベロッパーの開発部門の社員は、新規プロジェクトへの投資を判断する社内会議が10月以降一度も開かれていないと明かした。
「開発部門の社員の多くが(人事異動で)販売部門に回された。ほとんどの不動産会社にとって、目下大切なのは生き残ることであり、止められる投資はできるだけ止めるのが当面の戦略だ」と、この社員は話す。
別のデベロッパーのプロジェクト管理担当者によれば、地方によってマンションの売れ行きに差が目立ち、特に中国北部では(すでに着工済みの)プロジェクトの中断が相次いでいるという。中国の不動産会社はマンションを完成前にできるだけ早く売り切り、次のプロジェクトに資金を回す「高回転戦略」を競ってきたが、その継続はもはや不可能だ。
不動産業界の資金繰り悪化は、関連業界を巻き込んで負の連鎖を引き起こしている。調査会社の克爾瑞のレポートによれば、建築資材のサプライヤーや建設会社が代金回収の困難を懸念して(資材の納入や工事の継続を渋り)、すでに完成間近のプロジェクトまで工事中断に追い込まれるケースがあるという。
(財新記者:王婧)
※原文の配信は11月17日
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