深刻な債務危機の渦中にある中国の不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)は、10月22日、自助努力による経営再建計画を発表した。同社が手がけるプロジェクトの建設・販売の再開をテーマに開催した会議で、経営トップの許家印・董事局首席(会長に相当)が自ら説明した。
それによれば、恒大集団は(工事代金の未払いなどで)建設が中断しているプロジェクトの工事再開や、顧客への物件の引き渡しに全力を尽くすとともに、今後は不動産開発の規模を大幅に縮小。10年以内に電気自動車(EV)などの「新エネルギー車」へと主力事業の転換を図るとした。
恒大集団が8月末に発表した2021年1~6月期の決算報告書によれば、6月末の時点で竣工済みまたは建設中の物件数は合計1236件に上る。10月22日の会議で許氏は、これらの販売方法に関して、今後は(購入客の不安を払拭するため)物件が竣工した後の販売に切り替えると述べた。
中国の不動産業界では、ほとんどのデベロッパーが物件の完成前に販売を行う。契約を結んだ購入客が支払う頭金や住宅ローンを、その物件の建設費用や別のプロジェクトの開発資金に回すためだ。それを竣工後の販売に切り替えれば、開発資金の回収期間は格段に長くなる。ただでさえ資金繰りが苦しい恒大集団にとって、この方法が機能するかは疑問が残る。
新規の不動産開発は大幅縮小へ
再建計画によれば、物件竣工後の販売に移行した後、新規の不動産開発を大幅に縮小する。恒大集団が2020年に結んだ販売契約の総額は7232億5000万元(約12兆8750億円)。今後10年間以内に、それを年間2000億元(約3兆5603億円)前後まで減らすと、許氏は見通しを述べた。
もっとも、物件の建設工事を再開できなければ、竣工後の販売にも移行できない。多額の工事代金の未払いにより、恒大集団は数百件のプロジェクトが中断に追い込まれている。同社の関係者によれば、その後に販売を再開できた物件は多くはないという。
許氏はまた、10年以内に主力事業を不動産開発から新エネルギー車に転換すると宣言したが、現実的とは言い難い。そもそも恒大集団は8月10日、資金ショート回避のための資産売却の一部として、自動車事業の子会社である恒大新能源汽車集団の株式を部分的に売却する計画を発表していた。
さらに10月20日付の投資家向け情報開示でも、「資産売却に大きな進展はないが、今後も継続して推進する」と表明している。
(財新記者:陳博)
※原文の配信は10月23日
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