中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は11月17日、2021年7~9月期の決算を発表した。売上高は前年同期比13%増の319億元(約5726億円)と2桁の増収を確保したものの、純損益が166億元(約2980億円)の赤字に転落した。
赤字の主因は長期投資に関する減損処理だ。7~9月期の損益計算書には「その他損失」の項目に215億元(約3859億円)が計上され、そのうち189億元(約3393億円)は「1件の長期投資先の時価評価修正」によるものとの注記がついている。
この長期投資先がどこなのか、百度は具体名を開示していない。だが、それが中国のショート動画アプリ大手、快手科技(クワイショウ・テクノロジー)であるのは公然の秘密だ。快手は2021年2月に香港証券取引所に上場し、株価はその直後に売り出し価格の3倍近くまで跳ね上がった。だが、その後は株価が下がり続けており、7月末以降は売り出し価格を割り込んで推移している。
百度の四半期決算を振り返ると、2021年1~3月期は「1件の長期投資先の時価評価修正」により237億元(約4254億円)の利益を計上していた。ところが4~6月期は一転、同じ理由で31億元(約556億円)の損失を計上。7~9月期の減損を含めて、いずれも快手の株価の動きに符合する。
新型コロナの局地的流行が広告に打撃
投資損益以外に目を移すと、7~9月期は売上高の前年同期比の伸び率が直前の4~6月期より鈍化した。最大の原因は、中国国内で新型コロナウイルスの局地的流行が断続的に続き、百度の総売上高の6割以上を占める広告事業に打撃を与えたことだ。
「新型コロナの影響で、教育・研修、不動産、インテリア、旅行などの業界の広告出稿が落ち込んだ。10~12月期も先行きは不透明で、広告収入の伸びはさらに鈍化するかもしれない」。百度の最高戦略責任者(CSO)を務める余正鈞氏は、決算説明会でそう語った。
そのうえで余氏は、10~12月期の総売上高の成長率が前年同期比2~12%にとどまるという悲観的な見通しを示した。これを受け、アメリカのナスダックに上場している百度の株価は急落。11月17日の終値は161.82ドル(約1万8541円)と、前日より5.5%下落した。
(財新記者:何書静)
原文の配信は11月18日
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