中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は11月10日、2021年7~9月期の決算を発表した。売上高は前年同期比13%増の1423億7000万元(2兆5248億円)と2桁増収を維持。国際会計基準の純利益は同3%増の395億1000万元(約7007億円)だった。
特筆すべきなのは、投資収益や無形資産の償却などを控除・調整した非国際会計基準の純利益が、過去10年間で初の減益を記録したことだ。7~9月期の調整後純利益は317億5000億元(約5631億円)と、直前の4~6月期を7%、前年同期を2%それぞれ下回り、アナリストの予想平均値の323億5000万元(約5737億円)にも届かなかった。
今回の四半期決算から、テンセントは主力事業の1つであるオンラインゲームについて、中国本土市場と海外市場の売上高を個別に開示するようになった。そのうち中国本土では、中国政府による未成年のゲーム依存症防止対策が重しになり、7~9月期のゲーム売上高は336億元(約5959億円)と前年同期比5%の低い伸びに終わった。
(訳注:中国政府のゲーム規制の内容については『中国政府が未成年のゲーム「週3時間」制限の衝撃』を参照)
ゲームだけでなく広告にも政策の余波
一方、海外市場のゲーム売上高は113億元(約2004億円)と、前年同期比20%の高い伸びが続いた。その結果、ゲームの総売上高に占める海外比率は25%に上昇した。
アナリストの多くは、中国政府のゲーム規制のさらなる強化が、テンセントの将来の業績に与える影響に注目している。それに関して、同社のCSO(最高戦略責任者)を務めるジェームス・ミッチェル氏は決算説明会で、「当局の政策は未成年のゲーム依存症防止にフォーカスしたものだ。われわれは、ゲーム規制が成人にまで拡大されることはないと考えている」とコメントした。
当局の規制の逆風にさらされているのはゲームだけではない。同じく主力事業の1つである広告は(子供たちへの詰め込み教育を是正するための)教育改革政策のあおりを受けた。大口顧客だったオンライン教育会社や学習塾からの出稿が減少したため、7~9月期の広告事業の売上高は前年同期比5%増の225億元(約3900億円)にとどまった。
ミッチェル氏は、広告収入の伸び悩みに最も大きく影響したカテゴリーとして、教育、ゲーム、保険の3業界を挙げた。同氏によれば、広告主の出稿意欲の回復は鈍く、今後については当局の規制のさじ加減と中国経済全体の先行きにかかっているとの見解を示した。
(財新記者:銭童)
※原文の配信は11月11日
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