中国「自動運転ベンチャー」にトヨタが出資した訳 モメンタ、世界の自動車大手から570億円を調達

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モメンタには世界の自動車大手がこぞって出資しており、2016年の創業から集めた資金は1370億円を超える(写真は同社ウェブサイトより)

中国の自動運転スタートアップのモメンタ(Momenta)は11月4日、シリーズCの追加ラウンドで5億ドル(約570億円)を調達したと発表した。これにより、シリーズC全体の資金調達額は10億ドル(約1140億円)を突破。リード投資家には中国の国有自動車大手の上海汽車集団、アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)、日本のトヨタ自動車、ドイツの自動車部品大手のボッシュなど、世界の自動車業界の著名企業が名を連ねた。

過去の調達額を含めると、モメンタが2016年の創業から集めた資金は12億ドル(約1370億円)を超える。初期の投資家リストにはドイツのメルセデス・ベンツや、中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ)を創業した雷軍氏が率いる投資会社の順為資本などが含まれる。

モメンタは自動運転技術の開発に特化しており、提携先の自動車会社にそれを提供している。同社の技術を最初に搭載する市販車は、上海汽車集団が中国のITサービス大手の阿里巴巴集団(アリババ)と共同で立ち上げた新ブランドのスマートEV(電気自動車)「智己L7」だ。すでに2021年4月から販売予約を受け付けており、2022年の納車開始を目指している。

その他の自動車メーカーとの提携車種も、その後続々と発売される予定だ。モメンタによれば、量産された多数の自動運転車が日々大量の走行データを収集することで、同社のシステムやアルゴリズムをさらにレベルアップできるという。

無人運転と自動運転補助の「両面作戦」

自動車業界やIT業界で自動運転技術の開発競争が本格化して10年余り。当初はアメリカのグーグルからスピンアウトしたウェイモ(Waymo)に代表される(ドライバーが不要な)無人自動運転車の開発が大きな注目を集めた。しかし実用化やビジネスモデル構築がなかなか進まず、やがて投資家の関心が薄れていった。

代わって主流になったのが、量産される市販車に補助的な自動運転システムを組み込み、ドライバーの管理下で実際に運用しながら改善を繰り返すことで、段階的に完全自動運転を目指す開発手法だ。この路線はアメリカのテスラが先行し、世界の自動車大手がそれを追いかけている。

本記事は「財新」の提供記事です

そんななか、モメンタは無人自動運転の研究開発を継続すると同時に、自動車メーカーとの協業を通じて量産車向けの自動運転補助システムも開発する「両面作戦」を取っている。同社のシリーズCの資金調達で、投資ファンドよりも自動車大手や部品大手が投資家サイドの主役となったのは、この両面作戦が背景にあるからだ。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月5日

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