中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が開発したOS(基本ソフト)の鴻蒙(ホンモン)を搭載した新型EV(電気自動車)「極狐阿爾法S(アークフォックスアルファーS)ファーウェイ・バージョン」が4月17日にお披露目された。
「極狐(アークフォックス)」は国有自動車大手、北京汽車集団傘下のEVメーカーの北汽新能源汽車が立ち上げた高級車の新ブランドだ。ファーウェイは2017年に同社と業務提携関係を結んだ。両社の提携の対象となる自動車には、レーザー光を用いた3次元センサー「LiDAR(ライダー)」などの各種センサーを含む自動運転システム、スマートコックピット用にカスタマイズされたホンモンOS、独自プロセッサー「麒麟(Kirin)」、車載ディスプレーなど、ファーウェイのソフトとハードのソリューションのすべてを搭載している。
また、提携モデルのボディーには、ファーウェイのスマート自動車ソリューションを表す「HI」のロゴが付けられている。HIは「Huawei Inside」の略だ。ファーウェイ関係者によれば、両社のコラボモデルには100種以上のファーウェイ製部品を搭載、ファーウェイは提携モデルの売り上げの中から取り分を受け取る仕組みだ。
販売網も拡大する予定
今回発表したファーウェイ・バージョンのアークフォックスは、基本版とハイグレード版の2車種があり、メーカー希望販売価格はそれぞれ38万8900元(約649万円)と42万9900元(約717万円)で、今年の年末にはデリバリー開始予定だ。
4月17日に、ファーウェイのスマート自動車ソリューション事業のトップを務める王軍氏はメディアの取材に応じ「基本版は高速道路における自動運転が可能、ハイグレード版はさらに都市部の一般道での自動運転が可能だ」と語った。
また、同社の輪番董事長の徐直軍氏は4月12日、アナリスト会議の席上で「自動運転は今後10年以内に世の中を一変させる産業変革だ。ファーウェイの自動運転技術は、すでに市街地でのテスト走行で優秀な実績を上げている」と自信をのぞかせた。
北汽新能源汽車にとってもファーウェイ・バージョンには期待が高まる。同社はこれまで、タクシーとインターネット配車をターゲット顧客としていたが、2020年に個人によるEV購入が急増した中でブームに乗れず、同年の販売台数は2万5900台と前年比82.79%の大幅減となった。北汽新能源汽車は「アークフォックス」ブランドで失地回復を図りたい考えだ。
今後は販売網も拡大する予定だ。ファーウェイの王氏は「ファーウェイ製品の直営専売店を現在改装中で、今後アークフォックスブランドの自動車販売も開始する可能性がある」と話した。
自動車領域にも踏み込んでいるファーウェイだが、現時点では自動車製造には参入せず、あくまで自身を部品サプライヤーとして位置づけている。今後は自動車大手の長安汽車や広汽集団との緊密な業務提携で、さらに自動車領域を強化する計画だ。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月18日
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