中国の老舗学習塾の巨人教育(社名は巨人環球教育科技)は8月31日、経営難を理由に2021年秋以降の授業を停止すると発表し、事実上倒産した。同社の公式SNSによれば、生徒の学費の全額払い戻しには応じられず、(すでに授業料を支払い済みの)残りの授業は同業他社の高思教育や童程童美などが引き継ぐとしている。
1994年設立の巨人教育は北京に本社を置き、幼稚園児から高校生までを対象にしたオフライン教育(対面授業)を主力にしていた。ウェブサイトの企業紹介によると、北京、西安、鄭州に48の直営校舎があり、これまでに延べ500万人以上が学んだという。
同社は2018年10月に、アメリカのニューヨーク証券取引所に上場する教育サービス会社の精鋭教育(社名は精鋭国際教育集団)に買収された。しかし財新記者の取材によれば、親会社の精鋭教育も巨人教育と同時に経営危機に陥り、すでに上場廃止手続きが進んでいる。このため、巨人教育の授業継続を支える余力はまったくないのが実態だった。
経営トップは団体交渉で開き直り
巨人教育が倒産に追い込まれた背景には、2021年7月24日に中国政府が発表した教育改革政策がある。(子供たちへの詰め込み教育を是正するため)学習塾などの民間教育機関が法定休日や冬休み・夏休みを使って授業を行うことを禁じたほか、上場して資金調達を行うことも一律禁止した。
教育改革政策の発表から約2週間後の8月10日、巨人教育は7月分の給与支給日を迎えたが、従業員は賃金を受け取れず、(企業側が負担すべき)社会保険料も払い込まれなかった。このため多数の従業員が労働争議に加わった。
「8月9日の董事会(取締役会に相当)で、過半数の賛成により7月分の賃金支払いの停止を決議した。親会社の精鋭教育も資金援助はしないことを決めた」。財新記者が巨人教育の従業員から入手した録音によれば、同社CEO(最高経営責任者)の羅沫鳴氏は(従業員との団体交渉で)そう開き直っていた。
(財新記者:王伯文、王怡然)
※原文の配信は8月31日
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