中国の中堅自動車メーカーの吉利汽車(ジーリー)が設立した新興EV(電気自動車)メーカー、極氪汽車(ZEEKR、正式社名は極氪智能科技)は8月27日、総額5億ドル(約550億円)に上るプレシリーズAの資金調達契約を結んだと発表した。
リード投資家はアメリカの半導体大手インテルの投資部門であるインテル・キャピタルが務め、中国の車載電池最大手の寧德時代新能源科技(CATL)、動画配信サービス大手の嗶哩嗶哩(ビリビリ)、投資ファンドの鴻商集団、同じく博裕資本(ボーユー・キャピタル)が出資する。
これらの投資家は、出資を通じて極氪汽車の発行済み株式の約5.6%を取得する。投資額をもとに計算すると、同社の企業評価額は約90億ドル(約9897億円)に達する。残りの株式は吉利汽車が48%、吉利汽車の親会社である吉利控股集団が46.4%を保有し続ける。
「今後3年間で6つの新型車を投入し、2025年までに年間65万台の販売を目指す。世界の高級EV市場でトップ3に入りたい」。極氪汽車のCEO(最高経営責任者)を務める安聡慧氏は、そう意気込みを語った。これは非常に野心的な目標だ。アメリカのEVの巨人であるテスラでさえ、2020年の世界販売台数は約50万台だからだ。
モービルアイ製の自動運転SoCを採用
今回の資金調達でインテル・キャピタルがリード投資家となった背景について、安氏は極氪汽車が2021年10月から納車を開始する第1号モデルにインテル子会社のモービルアイ製の自動運転向けSoC「EyeQ5」および視覚情報処理ソリューションを搭載すると明かした(訳注:SoCはシステムオンチップの略称。CPUや制御回路など複数の機能を1つの半導体チップにまとめたもの)。極氪汽車は自動運転技術の開発で、ソフトウェアとハードウェアの両面からインテルとの関係を深める計画だ。
同じく今回出資を決めたCATLは、吉利汽車傘下の吉潤汽車と2018年12月に(車載電池を共同生産する)合弁会社を設立している。安氏によれば、この合弁会社では2022年下半期の量産開始を目指しているという。
中国のEV市場では最近、新型車の投入競争がますます激しくなっている。国有中堅メーカーの長安汽車は8月24日、通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)およびCATLと提携して開発した新型EVを2021年末に発売すると発表した。国有自動車最大手の上海汽車集団は電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)と手を組み、新たに立ちあげたEVブランドの智己汽車から2022年上半期に第1号モデルを投入する計画だ。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は8月28日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら