7月24日、中国の独占禁止法の執行機関である中国国家市場監督管理総局(市場監管総局)は、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)に対して、音楽配信サービスの独占的な音楽配信権の放棄などを命じる処分を発表した。これは独占禁止法で定められている「事業支配力の過度な集中」の該当案件に対し、市場監管総局が(罰金ではなく)「市場競争の回復」を求めた初の事例となった。
今回の処分の対象は、2016年7月に音楽配信大手の中国音楽集団をテンセントが買収した案件だ。市場監管総局は2021年1月から調査を続け、この買収が事業支配力の過度な集中に該当し、市場競争の排除と制限をもたらしたと判断した。
中国音楽集団は、テンセントの出資先の海洋音楽(オーシャン・ミュージック)が2013年に酷我音楽(クーウォー・ミュージック)、2014年に酷狗音楽(クーゴウ・ミュージック)と合併して誕生した。2016年7月、テンセントは中国音楽集団の発行済み株式の61.64%を取得。同年12月にはテンセント直系のQQ音楽と合併し、騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ)に社名変更した。
テンセント系だけで市場シェア8割
市場監管総局は、事業支配力の過度な集中と認定した根拠として、買収が行われた2016年7月時点の中国国内の音楽配信サービス市場におけるテンセントのシェアが45.77%、中国音楽集団が同39.65%に達し、合計のシェアが80%を超えていたことを挙げた。
また、音楽著作権の保有状況についても、テンセントの楽曲コンテンツの総数は1210万曲、中国音楽集団は821万曲に上り、そのうちテンセントの314万曲、中国音楽集団の130万曲が(著作権者から)独占配信権を得ていた。これにより、楽曲総数および独占配信権を持つ楽曲数の両方でシェアが80%を超え、市場競争が制限されていると判断された。
市場監管総局がテンセントに命じた「市場競争の回復」は、具体的には次のような内容だ。テンセントは楽曲の著作権者と独占契約または排他的契約を結んではならず、その範囲には音楽作品の所有権および録音製作物のネット配信権が含まれる。さらに既存の独占契約についても、原則として30日以内に契約を解除しなければならない。
(財新記者:関聡、張若曦)
※原文の配信は7月24日
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