中国のサービス業の景況感が急回復を示した。8月4日に発表された2021年7月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は54.9と、14カ月ぶりの低水準だった前月(50.3)より一挙に4.6ポイント上昇。中国南部の広東省で5月下旬に発生した新型コロナウイルスの局地的流行が収束したことにより、それまでの負の影響の反動がデータに表われたとみられている。
なお、8月2日に発表された7月の財新製造業PMIは50.3と、前月(51.3)より1.0ポイント低下して2020年5月以来の低水準を記録。サービス業と製造業の景況感の落差が広がった。とはいえ総合的に見れば、中国の経済活動は引き続き活発と言えそうだ。
サービス業では7月の供給と需要がそろって好調に推移し、15カ月連続の拡大基調となった。調査対象企業からは、新型コロナの局地的流行の収束とともに市況が好転し、「顧客数やサービス需要の増加に伴ってビジネスが拡大した」との声が寄せられた。
新型コロナの局地的流行の影響続く
サービス業の雇用指数は6月に一時縮小基調に転じたが、7月は縮小と拡大のボーダーラインをやや上回る水準に回復した。調査対象企業の回答によれば、サービス業の経営者は需要の拡大に合わせて徐々に採用を増やしている。だが一部の企業は、人件費の増加を嫌って採用数を抑えている。
気がかりなのは(景況感の急回復を背景に)サービス業の7月の投入価格指数および販売価格指数が大きく上昇し、インフレ圧力が再び高まり始めたことだ。調査対象企業からは「人件費、光熱費、原材料費などが軒並み上昇している」との声が数多く聞かれた。
「7月の財新サービス業PMIの調査期間は、広東省で新型コロナの局地的流行が収束し、江蘇省で新たな局地的流行が始まるまでの狭間に重なった。そのため景況感の大幅な改善が示されたが、8月の調査には新たな局地的流行が再びマイナスの影響をもたらしそうだ」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そう予想する。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は8月4日
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