中国製造業の景気回復がスローダウンしている。8月2日に発表された2021年7月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.3と、前月(51.3)より1.0ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50は上回ったものの、14カ月ぶりの低水準を記録した。
製造業の事業活動は供給側の拡大ペースが鈍化し、需要側は1年余りぶりの縮小基調に転じた。調査対象企業からは、顧客の需要が弱まりつつあるとの声や、製品価格の上昇で販売が伸び悩んでいるとの声が寄せられた。
ただし、海外からの需要は内需に比べておおむね安定している。製造業の7月の新規輸出受注指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインを幾分ながら上回った。
需要家が製品価格に対して敏感に
景気回復のスローダウンの影響は、雇用情勢にはまだ表われていない。製造業7月の雇用指数は4カ月連続で拡大基調を維持した。調査対象企業のなかには、生産力を拡大するために雇用を増やしている会社もあれば、採用増に慎重な会社もあり、対応が分かれている。
5月まで高まる一方だったインフレ圧力は、7月は6月に続いてわずかに緩和された。とはいえ、製造業の購買価格指数は(インフレとデフレの)ボーダーラインを大幅に上回る状況が8カ月続いている。それとは対照的に、7月の工場出荷価格指数はボーダーラインをやや上回るレベルまで低下。需要家が価格に対してより敏感になり、製品の値上げが難しくなりつつあることを示唆している。
「7月は製造業の需要に圧迫が表れた。一部の企業は(先行きへの懸念から)従業員の増員や原材料の仕入れに慎重になっている。中国経済の回復の基盤は盤石とは言えず、景気の下押し圧力は相当高い。(先行きに対する)経営者の自信を失わせない対応が必要だ」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は8月2日
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