中国製造業の景気回復の勢いに頭打ち感が出てきた。7月1日に発表された2021年6月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は51.3と、前月(52.0)より0.7ポイント低下。3カ月ぶりの低水準を記録した。
製造業の事業活動は、供給と需要の両面で5月より鈍化した。6月の生産指数は拡大基調と縮小基調のボーダーラインは上回ったものの、2020年4月以来の低さに落ち込んだ。新規受注指数も3カ月ぶりの低水準となり、外需を反映する新規輸出受注指数はボーダーライン割れぎりぎりだった。
背景には、新型コロナウイルスの世界的流行の長期化により、製造業のサプライチェーンが不安定になっていることがあるようだ。6月は製造業の購買活動も鈍化したが、その原因について、調査対象企業からは「サプライヤーの在庫不足に加え、物流も遅延しがちになっている」などの声が寄せられた。
景気減速下でのインフレのリスクも
もっとも、需給の変化は製造業の雇用にはまだ大きく影響していないようだ。6月の雇用指数は3カ月連続で拡大基調を維持し、7カ月ぶりの高水準に上昇した。調査対象企業の一部からは「新規受注が拡大しており、増産に向けた採用増加を計画している」との回答があった。
一方、懸念が高まっていた工業用金属や燃料など原材料のインフレ圧力は、値上がり幅そのものは依然大きいものの、5月より幾分緩和された。製造業は原材料の仕入れコストの上昇を製品価格に転嫁しているが、6月の工場出荷価格指数の上昇率は5月より目に見えて低下した。
「インフレ圧力は多少和らいだが、原材料の仕入れ価格や製品の工場出荷価格は上昇し続けており、一部では原材料の供給不足が問題となっている。今年後半(の製造業)は、景気が減速するなかでインフレが続くリスクがあり、難しい対応を迫られる」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は7月1日
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