中国の南に位置する華南地域の各港湾で、コンテナ船の“渋滞”が深刻化している。同地域では、5月下旬から新型コロナウイルスの局地的流行が発生。そのため広州市や深圳市のコンテナ港で厳格な防疫措置が取られ、港湾エリアでの作業効率の大幅な低下を招いているのだ。
日本のコンテナ船事業会社であるオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)は6月5日から11日まで、華南地域への52便の寄港予定を取りやめた。深圳の塩田港、蛇口港、赤湾港および広州の南沙港で、コンテナを予定通りに積み卸しできる目処が立たないためだ。
ONEによれば、(防疫措置にともなう検査強化などが影響して)港湾エリアと周辺道路で(コンテナを運ぶトレーラーの)激しい渋滞が続いているという。そのためコンテナの回転率が低下し、貨物の出入りにかかる時間が延びている。各埠頭の輸出貨物の積載計画は次々に遅延しており、今後数週間、コンテナ船は通常よりも長時間の停泊を迫られる見通しだ。
華南地域のフォワーディング会社(訳注:荷主と輸送業者の間に立って貿易事務や輸送手配の専門業務を代行する業者)の関係者は、財新記者の取材に応じてこう嘆いた。
「トレーラーの運転手は港に入るのに5、6時間も待たされて、空コンテナを1日1本しか回収できないこともある。今や世界中でコンテナとコンテナ船の積載スペースの奪い合いが起きており、あちこち頼み込んでも1週間先の予約を確保するのがやっとだ」
塩田港は対アメリカ貿易貨物量の約2割を担う
華南のコンテナ港の混乱は、もともと高騰していたコンテナ運賃をさらに押し上げている。きっかけは5月21日、新型コロナのPCR検査で塩田港の国際貨物埠頭の荷役作業員1人に陽性反応が出て、さらに複数の作業員の感染が確認されたことだった。その後2週間で、華南地域からアメリカのロングビーチ港に向かう40フィートコンテナの運賃は1本当たり1万3000ドル(約142万円)に急上昇。上げ幅は30%を超えた。
塩田港は華南地域で最も重要なコンテナ港の1つだ。年間のコンテナ取扱量は1335万TEU(20フィートコンテナ換算)を超え、欧米を中心に107の航路を有し、中国の対アメリカ貿易貨物量の約25%を担っている。
その塩田港の操業効率の低下は、海外にある空コンテナを中国に回収する作業も停滞させている。ある業界関係者は「塩田港は北米航路向けの空コンテナを輸入する重要な拠点だ。荷役作業員の新型コロナ感染が確認された後、約20あるコンテナバースのうち、正常に稼働できるのは半分になった。そのため(中国製品を輸出するための)空きコンテナの不足がさらに深刻になり、輸送コストを押し上げている」と語った。
(財新記者:賈天瓊)
※原文の配信は6月11日
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