中国汽車工業協会は6月11日、2021年5月の中国国内の自動車販売台数が前年同月比3.1%減の212万8000台だったと発表した。月次の販売台数が前年同月を下回ったのは、2021年に入ってから初めてのことだ。
その主因は大型トラックを中心とした商用車販売の大幅減少だ。同協会のデータによると、5月の商用車の販売台数は前年同月比で7.4%減った。商用車の販売台数の前年同月割れは、2020年4月以降で初めて。ここに至るまで、商用車市場は1年近く右肩上がりで成長し、月次の販売台数は過去最高を幾度となく更新していた。
同協会の副秘書長を務める陳士華氏は、商用車販売がこの1年近く爆発的に伸びたのは、新たな排ガス規制の導入を控えて、需要の先食いが起きた結果だと説明した。中国では2021年7月1日以降、国内市場向けに生産、輸入、販売、登録されるすべての大型ディーゼルエンジン車に対して、欧州の現行の排ガス規制である「ユーロ6」よりも厳しい「国6」と呼ばれる新基準をクリアすることが義務付けられる。
半導体供給不足も影響
陳副秘書長によると、「国6」をクリアできる大型トラックの価格は従来基準の「国5」に比べて、1台あたり2万元(約34万円)以上高くなる。そのため多数のユーザーが、7月1日が来る前に「国5」の大型トラックを駆け込み購入したのだ。
一方、5月は乗用車の販売台数も前年同月比で1.7%減少した。商用車とは異なり、原因は業界を半年余りにわたり苦しめている半導体の供給不足だ。陳副秘書長は、「半導体を巡る問題は、いまだに深刻な状況で、大多数の自動車メーカーが減産せざるをえない状況だ」と語った。
とはいえ同協会は、2021年の通年の販売に関しては、先行きを楽観視している。陳副秘書長は「半導体の供給不足は2021年7~9月期にはある程度好転し、10~12月期には大きく改善する」との見解を示した。その前提で、同協会では2021年の通年の自動車販売台数は前年比6.5%増の2700万台に達すると予測している。
(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は6月11日
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