6月18日、イギリスのバルチック海運取引所が発表するバルチック海運指数(BDI)は取引終了時点で3267ポイントをつけ、11年ぶりの高値を記録した。この日までBDIは7日連続で上昇し、上げ幅は30%に達した。
BDIは複数の主要航路のばら積み貨物船のスポット運賃を加重平均して算出したものだ。ばら積み貨物船は、鉄鉱石、石炭、穀物など代表的なコモディティー商品の海上輸送の大半を担い、その運賃にはコモディティーの需給の変化が随時反映される。そのため、BDIはエコノミストから「世界経済の『バロメーター』」と呼ばれている。
中国は、世界で最もコモディティー商品の需要が大きい国だ。例えば、鉄鉱石は世界の貿易量の7割近くを輸入している。そのため、中国の需要動向と政府の経済政策は、BDIの変動に大きな影響を与える。2021年に入り、国際コモディティー商品の相場は上昇し続け、需給の実態から大きく乖離した。そんななか中国当局は、(相場の過熱を抑えるために)貿易取引の管理監督の強化と、投機的売買の取り締まりに注力してきた。
とはいえ全体的に見れば、BDIの上昇はコモディティー商品の旺盛な実需に支えられている。中国海関総署(税関)のデータによれば、2021年1~5月のコモディティー商品の輸入量は大きく増加。その内訳は、鉄鉱石が前年同期比6%増の4億7200万トン、原油が同2.3%増の2億2100万トン、大豆が同12.8%増の3823万4000トンだった。
6月の鉄鉱石輸入量は5月を超える可能性
「鉄鉱石運搬船の運航データからは、中国の鉄鉱石輸入が依然として強含みに推移していることが見て取れる。6月1日から13日の間に4600万トンの鉄鉱石が中国の港に到着しており、6月の輸入量は5月を超えると予想している」。中国の国有コングロマリット、招商局集団の傘下でタンカーやばら積み貨物船の運航を手がける招商局能源運輸の関係者は、財新記者の取材にそう語った。
さらに、この関係者は「市場関係者の大半は、ばら積み貨物船の運賃がさらに値上がりすると見ている。鉄鉱石を主に輸送するケープサイズの大型ばら積み貨物船の場合、7~8月の先物運賃はすでに1日当たり4万ドル(約442万円)を超え、直近に比べて1万ドル(約110万円)近く高くなっている。スポット運賃も今後の値上がりは間違いない」と指摘した。
(財新記者:賈天琼)
※原文の配信は6月18日
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