中国では新型コロナウイルスの流行が落ち着くとともに、経済・社会活動の正常化が進んでいる。そんななか、4月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)がそろって3月より低下し、下落幅はアナリストの事前予想を上回った。
中国国家統計局が5月12日に発表したデータによると、4月のCPIは前年同月比では3.3%上昇したものの、前月より1.0ポイント低下。財新が調査したアナリスト予想の平均値(3.6%)を下回った。PPIは前年同月比3.1%下落し、下落幅が前月より1.6ポイント拡大、2016年5月以来の最低値を記録した。
CPIの上昇率が鈍化したのは、食品価格の値上がりがピークを越えた影響が大きい。「コロナ後」の物流の回復や気温の上昇を受け、4月の生鮮食品価格は前年同月比14.8%の上昇と、値上がり幅が前月より3.5ポイント縮小した。なかでも食品価格を大きく押し上げていた豚肉は、生産力の回復による供給増加で前年同月比の値上がり幅がついに100%を下回った(訳注:中国では2018年からのアフリカ豚コレラの流行で豚肉の生産力が大幅に低下していた)。
相対的な需要不足が企業の長期課題に
食料とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比1.1%の上昇にとどまり、前月より0.1ポイント低下した。これは「コロナ後」の非食品の消費回復が遅れている現実を反映している。
PPIに目を移すと、4月の指数が大きく低下したのは国際原油相場が史上初のマイナス値を記録するなどコモディティ価格が急落した影響が大きい。野村証券の中国地区チーフエコノミストの陸挺氏は、その後の原油相場の反発などで「5月のPPIの下落幅はやや縮小する可能性がある」と見る。
だが一時的な上下はあっても、工業セクターのデフレ圧力は弱まらないとの見方が少なくない。粤開証券のチーフエコノミストの李奇霖氏は、製造業の生産が回復するなか「相対的な需要不足にどう対応するかが、企業にとってコロナ後の長期的課題になる」と指摘した。
(財新記者:沈凡)
※原文の配信は5月12日
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