中国のサービス業の景気回復に急ブレーキがかかった。7月5日に発表された6月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は50.3と、前月(55.1)より4.8ポイント低下。好不況の判断の目安とされる50は上回ったものの、14カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。
その要因は、5月下旬から6月にかけて中国南部の広東省で発生した新型コロナウイルスの局地的流行だ。調査対象企業によれば、多くの消費者が(感染の全国への広がりを警戒して)外出を控えた影響で、サービス業の受注が全体的に伸び悩んだという。
新型コロナの影響による需要後退で、サービス業の原材料や人件費などのコストは上昇から下降に転じた。と同時に、サービス業は需要喚起のための値下げを迫られている。6月のサービス価格指数は下落基調の水準まで落ち込み、10カ月間続いた上昇基調に終止符が打たれた。
雇用も4カ月ぶり縮小基調に
需要後退の影響は、サービス業の雇用に直ちに表われた。6月のサービス業の雇用指数は4カ月ぶりの縮小基調となり、同月の製造業の雇用指数が拡大基調を維持したのと対照的な結果になった。なお、製造業の雇用増加はサービス業の雇用減少を埋めきれず、全体では若干のマイナスだった。
向こう12カ月間のサービス業の楽観度を示す指数も、6月は9カ月ぶりの低水準を記録した。とはいえ、指数自体は楽観と悲観のボーダーラインを上回っている。調査対象企業の多くは、中国国内での新型コロナの封じ込め継続と、将来の世界景気の回復に対する自信を失っていない。
「6月はインフレ圧力が一時的に和らいだものの、新型コロナの局地的流行がサービス業に大きな影響を与えた。新型コロナの終息が見通せないなか、製造業が現状への耐性をつけつつあるのに対し、サービス業はより脆弱だ」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は7月5日
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