中国の独占禁止法の執行機関である中国国家市場監督管理総局(市場監管総局)は、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)による中国検索エンジン2位の捜狗(Sogou)の買収と、株式の非公開化を承認した。7月13日、市場監管総局のウェブサイトでの情報開示で明らかになった。
テンセントは7月7日に、捜狗への投資をめぐって50万元(約851万円)の罰金を科されたばかりだった。2013年9月、テンセントは捜狗の発行済株式の36.5%を取得したが、独占禁止法上の「事業支配力の過度な集中」を避けるために定められた事前の届け出を怠っていたためだ(テンセントなどネット大手への行政処分に関しては、中国の「ネット大手」に行政処分が相次ぐ事情を参照)。
テンセントが捜狗の完全買収に動き出したのは、2020年半ばのこと。捜狗に対してADS(米国預託株式)を1単位当たり9ドル(約992円)で買い取る提案を行い、同年9月末に両社は最終合意に至った。
ところが2020年11月、市場監管総局がネット企業を対象とした独禁法運用の新たなガイドラインを発表し、それまでネット業界で多用されてきたVIE(変動持ち分事業体)と呼ばれる手法のM&A(買収・合併)案件が監督対象に加えられた。これ以降、ネット企業がM&Aを実施する際には事前審査の届け出が不可欠になった。
捜狗はニューヨーク証券取引所の上場廃止へ
今年5月、捜狗は2021年1~3月期の決算報告のなかで、(同社の)株式非公開化について「監督当局の承認を含む関連条件を満たしたうえで、2021年4~6月期以降の完了を予定している」と説明していた。今回の市場監管総局の承認により、捜狗はニューヨーク証券取引所への上場を廃止し、テンセントの完全子会社になる。
なお、テンセントは同社が筆頭株主である2大ゲーム動画配信プラットフォームの「闘魚(DouYu)」と「虎牙(HUYA)」の合併計画についても市場監管総局の審査を受けていた。
ところが7月10日、市場監管総局はこの合併計画を却下した。ゲーム動画配信の市場およびオンラインゲームの運営サービス市場におけるテンセントの支配的地位が強化され、(公正な)競争の排除や制限が生じる可能性があると判断したためだ。テンセントが主導した2つのM&A案件は、1件は却下され、1件は承認されるという対照的な結果となった。
(財新記者:浦隽、銭童)
※原文の配信は7月13日
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