高品位の銅鉱石を産出するアフリカ最大級の「カモア・カクラ銅山」。その第1期開発プロジェクトが稼働し、5月25日に銅精鉱(訳注:銅鉱石を粉砕・選別し品位を高めたもの)の生産が始まった。コンゴ民主共和国の南部に位置し、銅金属の資源量は4369万トン超と見込まれている。
第1期プロジェクトは、銅鉱石の年間処理量が380万トン(銅金属20万トンに相当)で、13億ドル(約1430億円)を投じて開発が進められた。2022年7~9月期には、第1期と同規模の第2期プロジェクトが操業を開始する予定で、7億5000万ドル(約826億円)を投資する。さらに2029年までに年間処理量を1900万トン(銅金属80万トン超に相当)まで拡大する計画があり、実現すれば世界第2位の銅山になる可能性がある。
カモア・カクラの開発プロジェクトは銅の相場が低迷していた2015年に始動し、計画から第1期の稼働まで約6年を費やした。その間に銅の相場は大きく上昇。7月9日にはロンドン先物取引所の銅価格が、2021年初より19%高い1トン当たり9518ドル(約104万円)をつけた。
これはプロジェクトが始動した当時に比べて2倍近い水準であり、今回の操業開始は順風満帆の船出となった。カモア・カクラは「逆張り開発」の成功事例として業界内の注目を集めている。
生産した銅精鉱はすべて中国で販売
カモア・カクラの開発は、カナダ資源大手のアイバンホー・マインズ、中国資源大手の紫金鉱業、国有複合企業大手の中国中信集団(CITIC)傘下の中信金属の3社合弁で進められている。建設工事には多数の中国企業が参加し、生産した銅精鉱はすべて中国に輸送して販売する計画だ。
外国の資源大手と中国企業の合弁事業は、双方のマネジメント方式や経営理念などが大きく異なるため、容易ではない。中国鉱業連合会の2017年の統計によると、中国企業の海外資源開発への投資は8割が失敗に終わっている。
そうした中でも、カモア・カクラの開発プロジェクトは、カナダ側と中国側が意思疎通の努力を積み重ねて、文化の違いを克服することに成功した。そのプロセスは他の中国企業にとっても参考になりそうだ。
(財新記者:羅国平、盧羽桐)
※原文の配信は7月11日
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