中国の民営企業でリチウム製品を生産する贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)は3月30日に2020年の通期決算を発表した。それによれば、2020年の売上高はリチウム電池事業が伸びたものの、前年比3.41%増の55億2400万元(約926億円)と微増にとどまった。一方で、純利益は同2.86倍の10億2500万元(約172億円)と大幅に増加した。
2000年に設立された贛鋒鋰業は、江西省新余市に本社を構え、リチウム資源の開発、精錬、リチウム電池の製造などを手がけている。
2020年の純利益を押し上げた最大の要因は、贛鋒鋰業が保有するオーストラリアのリチウム採掘大手、ピルバラ・ミネラルズ(Pilbara Minerals)の株価上昇にある。ピルバラは、リチウムの原料となるリシア輝石の世界最大級の開発プロジェクトを有しており、同社の2020年末時点の株価は年初比2.8倍の1株あたり0.87オーストラリアドル(約73円)にまで上昇した。
水酸化リチウム生産で全世界の24%占める
贛鋒鋰業の決算報告書によると、同社はピルバラの6.33%の株式を保有している。ピルバラの株価上昇がもたらした利益は、贛鋒鋰業の純利益の46.69%にあたる5億2600万元(約88億円)を占めた。
さらに決算報告書からは、贛鋒鋰業が、2020年1~6月期に水酸化リチウムの生産量を増やし、生産能力を前年比29.1%増の年間3万1000トンにまで拡大したことも明らかになった。
水酸化リチウムは「三元系」のリチウムイオン電池にとって欠かせない原料だ。2020年は電気自動車(EV)の販売が好調で、三元系リチウムイオン電池の需要が急激に増加。それに伴い、水酸化リチウムの需要も大幅に拡大した。贛鋒鋰業の水酸化リチウム生産拡大は、こうした市場の変化に順応するためである。
国有金属大手、中国五鉱集団の傘下の証券会社が発表した報告書によれば、贛鋒鋰業の水酸化リチウムの生産量は2020年時点で全世界の24%を占め、世界第2位を誇る。なお、世界第1位はアメリカの「リチウムの巨人」と呼ばれるアルベマールで、生産量は全世界の27%を占めている。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は3月31日
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