現在の自動車マーケットで、最も勢いのあるのがコンパクトSUV/クロスオーバーのセグメントである。日本のみならず世界的に規模が急速に拡大しているこの市場だが、興味深いのは単に拡大しているだけでなく、その内容が変容してきていることだ。実際のところ、それはコンパクトクラスに限らず、SUV/クロスオーバーとカテゴライズされるモデル全般に言える事象である。
かつてSUV/クロスオーバーは、乗用車の主流であるセダンやハッチバックに対して、スペシャルティカー的な位置づけにあったと言っていい。ユーザーは若い層が中心の、昔ならクーペを購入していたような人たち。タフなルックス、どこにでも行けそうな走破性、積載能力などが、“ちょっと違ったもの”を求める彼らに支持されたのだ。
ところが、そうした魅力が徐々に広まり、多くのユーザーが魅入られていくにつれて、乗用車の主流がセダンやハッチバックからSUV/クロスオーバーへとシフトしてくるという動きが顕在化してきた。今やSUV/クロスオーバーは年齢、性別を問わないさまざまなユーザーが、ごく普通に選ぶ存在になっていると言っていい。
室内や荷室がせまかったCX-3
マツダは2015年に、コンパクトSUV/クロスオーバー市場にCX-3を投入した。市場では、おそらくはそのルックスから若いユーザーに、そして取り回しのよさなどもあって意外やシニア層にも支持されることとなった。
ところが前述のとおり、急速に拡大する市場はその中身を同時に変質させつつある。そんな中で露呈してきたのが、CX-3がまさにその市場の中心であるヤングファミリー層にアピールできていないという事実であった。CX-3はスタイリッシュではあるが、彼らにとってより重要な室内そして荷室がお世辞にも広いとは言えなかったのが、その原因のようである。
マツダのブランニューモデル、CX-30(シーエックス・サーティー)は、そうした背景から開発された。マツダ3に続く新世代商品第2弾と位置づけられたこのクルマは、まさしく今のコンパクトSUV/クロスオーバー市場のド真ん中を狙う。CX-3はそのまま販売が続けられるというから、両車がまったく違った層をターゲットにしているのは明白だ。
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