マツダ新型SUV「CX-30」乗ってわかった実力 ドイツの試乗会で感じたレベルの高さとは

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パワートレインは欧州向けだという2Lガソリンに、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と小容量リチウムイオンバッテリーを組み合わせたM-HYBRIDと呼ばれるマイルドハイブリッドと、1.8Lディーゼルを試した。

前者は全体に力感が薄く、とりわけ平均速度の高いドイツでは地力も瞬発力も、やや物足りなく感じられたというのが率直なところ。日本仕様はおそらく別のユニットになる……はずである。

逆にディーゼルにとってはゴロゴロ音が目立ったりトルク変動が出たりと苦手な低回転域をあまり使わないで済む環境だったので、以前にCX-3やマツダ3などで試した時より好感触だった。いずれにしても、日本で乗ってどうかは改めて検証してみたい。

ブレない高い一貫性

それにしてもドイツの風景の中で、これほど映えるクルマとは……というのが、振り返ってとても強く残っている印象だ。とくにボディサイドの大胆なうねりが、陽光の下で深い陰影となって映し出される様にはハッとさせられた。

しかも、ここまで記してきたように、その美しいデザインの内側には確かな機能性、ユーティリティーが宿っているのだ。コンセプト、デザイン、走りと、すべてにブレない高い一貫性には清々しいものがある。パワートレインだけはもうひと頑張りと言いたいが、ヒットの可能性は十分と言える。

国内での販売を開始した「MAZDA3」(撮影:尾形文繁)

そしてこのCX-30の登場によって、マツダ3のファストバックが、デザインもパッケージングもどうしてあそこまで大胆に振り切ることができたのかも明確になった。今やマツダ3は、走りやスタイルにこだわった人の選択肢、つまりかつてのスペシャルティカー的な位置づけであり、このクラスの主流として据えられているのは、まさにCX-30なのだ。

冒頭に記したとおり、もはや立ち位置が逆転しているSUV/クロスオーバーとハッチバックの市場に、マツダは2台の新世代商品の矢継ぎ早の投入で、見事にアジャストしてきたわけである。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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