マツダが、あえて「MT車」を充実させる理由 5月下旬に発表される「MAZDA3」でもMTを採用
今は新車として売られる乗用車の98%がAT(オートマチックトランスミッション)車で占められる。1980年代の中盤まで、ATとMT(マニュアルトランスミッション)車の比率は各50%くらいだったが、現時点ではほぼ全車がATになった。
昔のATには、加速力や燃費性能が悪いという欠点もあったが、今はほぼ払拭されている。むしろCVT(無段変速AT)は、効率のよい回転域を積極的に使えるため、MTよりも燃料消費量が少ない。
また今ではATの性能が高まり、MTに比べて遅く感じることはほとんどない。例えば高性能スポーツカーの日産GT-Rでは、クラッチペダルを装着するMTは選べない。2組のクラッチが内蔵された有段式ATのみになる。GT-Rの性能水準になると、極めて素早い正確な変速操作が要求され、ギヤチェンジがドライバーの手には負えないからだ。ギヤチェンジは優秀なATシステムに任せて、ドライバーはハンドル操作に集中するほうが合理的とされている。
ATでありながらMTのような使い方も
さらに今のATには、ドライバーがマニュアル操作によって変速時期を選べるタイプが増えた。ステアリングホイールの両側にパドルスイッチが装着され、シフトアップ/ダウンの操作を行える車種もある。マニュアルモードでは、ドライバーが操作しなければ自動変速は行われないから、峠道やサーキットを走るときに都合がいい。ATでありながら、MTに近い使い方も可能だ。
この影響もあり、MTを選べないAT専用車が増えた。日本ではハイブリッド車の人気が高く、小型/普通乗用車の約40%を占める。現行ハイブリッド車もすべてATだから、AT比率が100%に近づくのは当然だ。
1991年には、AT限定免許も創設された。2018年の運転免許統計によると、第一種普通運転免許合格者数の内、約64%がAT限定免許であった。そうなれば2018年の合格者で、MTを運転できるのは36%に限られる。
ところが最近発売された新型車には、MTを用意する車種がいくつか見られる。MTに、とくに力を入れるメーカーがマツダだ。スポーツカーのロードスターに加えて、セダン&ワゴンのアテンザ、コンパクトカーのデミオも6速MTを用意する。
SUVのCX-5は、2012年に発売された先代型はATのみだったが、2017年に投入された現行型は6速MTを設定した。アクセラにも6速MTがあり、2019年5月24日に発表される後継車種のMAZDA3も継続採用する。コンパクトSUVのCX-3にも6速MTがあるから、マツダ車でATしか選べないのはCX-8だけだ(OEM車を除く)。
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