マツダが、あえて「MT車」を充実させる理由

5月下旬に発表される「MAZDA3」でもMTを採用

ホンダシビックは、スポーティーなタイプRに加えて、1.5Lターボエンジンを搭載するノーマルタイプのハッチバックも6速MTを用意する。このほかホンダ車ではフィットRSホンダセンシング、トヨタはカローラスポーツ(1.2Lターボ)、スズキはスイフトスポーツやジムニーもMTを設定して人気を高めた。

AT限定免許が普及してMTがマイナーな存在になった今、なぜMTを選べるのか。マツダの開発者に、CX-8以外の全車に6速MTを用意する理由を尋ねた。

「マツダでは(先代CX-5以降の)新世代商品群を開発するに当たって、6速MTも新設計した。この仕上がりがよかったため、アテンザに採用したところ、お客様から高い評価を得た。ほかの車種でも6速MTを希望するお客様がおられたこともあり、今では大半のマツダ車に搭載している」という。

走りのコントロール領域を広げる情緒と楽しさ

スカイアクティブ技術を採用する今のマツダ車は、後席や荷室の広さといった実用性よりも、運転する楽しさに重点を置く。このマツダ車の性格と、6速MTは相性がいい。6速MTを用意するいちばんの理由も、運転の楽しさを盛り上げることだ。速度に見合う適切なギヤを選ぶほか、クラッチを操作することも運転の楽しさになりうる。

MTの楽しさをとくに感じるのは、峠道などのカーブを曲がるときだろう。カーブの手前で4速から3速、2速へとシフトダウンしてエンジン回転を高めておけば、カーブを抜けた後で素早く加速できる。難しいのはシフトダウンで、滑らかに減速しながら、エンジン回転数は順次高めて4速、3速、2速へとギヤを落とさねばならない。

そこで右足のツマ先でブレーキペダルを踏みながら、踵ではアクセルペダルをあおり、シフトダウンの度にエンジン回転を高めてクラッチをつなぐヒール&トゥの操作も必要になる。クラッチペダルを備えたMTならではの運転方法だ。

MTを選ぶ実用的なメリットは乏しいが、走りのコントロール領域を広げる情緒と楽しさがある。ステアリング、アクセル、フットブレーキに加えてギヤチェンジまで自分で行えば、クルマの走行をそれだけ広く管理できるからだ。

目的地までの移動手段とするならATが快適だが、運転を楽しむためにクルマに乗るなら、MTを選ぶ余地も生じるだろう。目的は移動ではなく運転操作に置かれ、ギヤチェンジもそこに含まれるからだ。

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