中国の北京市政府は先ごろ、同市の経済技術開発区に自動運転技術の実証試験を行う「高度モデル地区」を建設する計画を明らかにした。2022年の完成を目指している。計画策定に関わった関係者によれば、高度モデル地区では自動運転車両と道路インフラの間でデータを相互にやりとりする「インフラ協調型」の自動運転システムの技術的課題やビジネスモデルを探求し、その成果を北京以外の都市にも広めていくという。
北京市政府の公開情報によれば、高度モデル地区ではハイレベルの自動運転を実現するための「スマートな自動車」「スマートな道路」「データをリアルタイムに処理するクラウド」「安定したネットワーク環境」「高精度の地図」などを導入・整備する。スマート化を実施するインフラ施設には総延長10キロメートルの高速道路、同10キロメートルの一般道路、1カ所の自動化された駐車場などが含まれる。
自動運転技術のモデル地区は、北京のほかにも上海、重慶、広州、深圳、長沙など多数の都市が整備を進めており、一部の都市ではすでに無人運転のタクシーがテスト運行を開始している。だが前出の関係者によれば、北京のプロジェクトはそれらの中でも最高のレベルを目指している。
自動運転関連の法的制約を棚上げ
例えば、自動運転用の高精度地図には道路の勾配、曲率、標高、高さ制限、重量制限などの詳細な地理情報が必要で、しかもリアルタイムに更新しなければならない。専門家の間では、それを実現する仕組みは自動運転車両が走行しながら道路をスキャンし、データを地図サーバーにアップロードする方法しかないとされている。だが、現行法の下では地理情報の測定には特別な資格が必要であり、勝手な測定は法令違反になってしまう。
北京の高度モデル地区内では、このような法的制約が棚上げされる。2019年12月31日、北京市政府は(地理情報などを所管する)中央政府の自然資源省、工業情報化省との協議書に署名した。その目的は高度モデル地区での段階的な実証試験を通じて、自動運転用地図の標準規格、暗号化技術、データ伝送などの核心的課題の解決法を模索することにある。
高度モデル地区内には、中国初のインターネットとクラウドを連携させた自動運転対応の高速道路も建設される。さらに、ネットに接続された自動運転車両との双方向のデータ連係を公共サービスに活用する、世界初のプラットフォームの整備も予定されている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月27日
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