中国の民営企業でリチウム製品を生産する贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)は6月14日、同社の香港の100%子会社である贛鋒国際(GFLインターナショナル)を通じて、西アフリカのマリ共和国南部にあるグーラミーナ鉱山の開発プロジェクトに1億3000万ドル(約143億円)を出資すると発表した。贛鋒鋰業はこれまでオーストラリア、メキシコ、アルゼンチンなどのリチウム鉱山に投資してきたが、アフリカは今回が初めてだ。
グーラミーナ鉱山は、リチウムの原料となる「リシア輝石」の資源量が1億800万トンに上ると推定されている。これは水酸化リチウム換算で157万トンに相当する。また、現時点で(商業的に採掘可能な)埋蔵量は推定840万トンで、水酸化リチウム換算で13万3000トンに相当する。生産開始の予定時期は、まだ公表されていない。
贛鋒鋰業は今年5月、約17億元(約292億円)を投じてイギリスのリチウム生産企業であるバカノラリチウムの株式を買い増したばかりだ。同社は世界最大級のリチウム資源プロジェクトの1つである、メキシコのソノラ州のリチウム粘土鉱床の採掘権を保有する(ソノラ州のプロジェクトについては、中国の民営「リチウム生産企業」M&A加速の背景、を参照)。
リチウム相場は急回復している
グーラミーナ鉱山の開発プロジェクトへの投資スキームは、以下のようになっている。まず同鉱山の採掘権を所有するオーストラリアの資源開発会社のファイアーフィンチが、オランダに特別目的会社を設立。贛鋒鋰業はその株式の50%を取得する。次にファイアーフィンチがマリの100%子会社LMSAにグーラミーナ鉱山の採掘権を譲渡する。その後、オランダの特別目的会社がLMSAを買収するという流れだ。
これら一連の取引が完了すれば、贛鋒国際とファイアーフィンチが、オランダの特別目的会社の株式を50%ずつ保有し、取締役会の議決権もそれぞれ50%を持つことになる。
最近のEV(電気自動車)の販売増加に伴い、車載電池に欠かせない原材料であるリチウムの相場は急回復している。非鉄金属情報サービス会社が6月15日に公表したデータによれば、電池用炭酸リチウムの平均価格は1トン当たり8万8000元(約151万円)で年初と比べて70.8%上昇、電池用水酸化リチウムは1トン当たり9万1500元(約157万円)で、同86.7%上昇した。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は6月15日
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