中国の民営企業でリチウム製品を生産する贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)は5月6日、メキシコの大規模リチウム粘土鉱床の開発プロジェクトの買収計画を明らかにした。
電気自動車(EV)用電池に不可欠な原料として世界的にリチウムの需要が高まった結果、リチウム価格は2020年につけた底値から急激に回復した。非鉄金属の情報サービス会社のデータによれば、5月6日時点で電池用水酸化リチウムの平均価格は1トン当たり8万2500元(約139万円)で年初に比べて68%上昇。電池用炭酸リチウムは1トン当たり8万9000元(約150万円)で、年初と比較して72.8%上昇している。こうしたリチウム価格の高騰が、サプライチェーンの上流部におけるM&A(合併・買収)に拍車をかけているのだ。
贛鋒鋰業の発表によれば、同社の完全子会社が約1億9000万ポンド(約288億円)の自己資金を投じ、イギリスのリチウム生産上場企業のバカノラリチウムの株式を買い増しする。取引完了後には、同子会社はバカノラの株式を100%取得することとなる。
世界最大級のリチウム資源プロジェクトを保有
贛鋒鋰業は2019年にバカノラに投資して17.41%の株式を取得し、今年2月の追加投資で株式保有率を28.88%まで高めていた。そして今回の取引では、1株0.675ポンド(約102円)でバカノラの残りの株式をすべて購入する。この買い取り価格は4月30日までの3カ月間の加重平均株価を51.3%上回る。
バカノラの主要事業はリチウム粘土鉱床の開発プロジェクトのマネジメントで、メキシコのソノラ州にあるリチウム粘土鉱床の採掘権を保有している。これは炭酸リチウム換算の推定埋蔵量が約882万トンに達する世界最大級のリチウム資源プロジェクトだが、まだ生産には着手できていない。
贛鋒鋰業は買収完了後にソノラ・プロジェクトを加速させると表明した。第1期開発での水酸化リチウムの年間生産能力は2万トンを目指している。これは2020年時点で同社が持つ生産能力の4分の1に相当する。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は5月7日
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