アメリカの公開会社会計監査委員会(PCAOB、上場企業の監査法人を監督する機関)は、5月13日、「外国企業説明責任法」における「完全な調査・検査が行えない(海外登記の)会計監査法人」の認定の細則を発表し、パブリックコメントを募った。これは、主に中国関連銘柄を狙った監督管理の政策が実行段階に入ったことを意味している。
これにより、アメリカの証券取引所に上場する中国銘柄の株価は急落し、教育大手の北京新東方教育科技(集団)は5月13日の終値が前日比14.42%下落、電子商取引(EC)大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)は同7.11%下落、動画配信サービス嗶哩嗶哩(ビリビリ)は同6.83%下落、EC最大手の阿里巴巴集団(アリババ)も同6.28%下落した。
「外国企業説明責任法」は2020年12月18日に成立した。アメリカ証券取引委員会(SEC)とPCAOBは同法に従って、細則を策定することになっている。同法ではアメリカに上場する企業に必要とされる会計規制の要件が追加され、企業がその要件を3年連続で達成できない場合、その株式はアメリカのすべての証券市場で取引が禁止される。(詳しくは、米上場「中国企業」の監督を強化する法律が成立を参照)
同法が中国関連銘柄を標的としていることは明らかだ。とくに情報開示に関する要件では、外国政府の所有権・支配権の有無、取締役に中国共産党員がいる場合はその氏名、会社の定款に中国共産党規約の内容が記載されていないか、などが追加されている。
要件未達で取引禁止が発生するのは24年から
海外企業に対する国境を越えた監督管理には障壁が多い。PCAOBは長い間、中国関連銘柄の監査資料の原本の直接入手はおろか、PCAOBに登録されている中国本土・香港の会計事務所に対する現地での立ち入り調査もできていない。
PCAOBのデータによると、2019年度時点で、中国本土企業178社、香港企業56社がPCAOBの会計規制要件を満たしていないという。これらの企業の時価総額は合計約2兆3000億ドル(約252兆円)であり、そのうち上位10社で約1兆5000億ドル(約164兆円)を占めている。
PCAOBの細則は、2020年12月31日以降に終了する会計年度より適用開始となる。ほとんどの上場企業では2021年度から対象になり、その決算が発表されるのは2022年に入ってからだ。つまり、3年連続の要件未達による取引禁止が執行されるのは、早くても2024年になりそうだ。
(財新記者:岳躍)
※原文の配信は5月14日
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