中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)の業績が、半導体不足や物流混乱などの「サプライチェーン(供給網)危機」に足を引っ張られている。同社が11月23日に発表した2021年7~9月期決算は、売上高が781億6300万元(約1兆4007億円)と前年同期比8%の伸びにとどまった。
売り上げの伸びが鈍化したのは、総売上高の6割以上を占めるスマホ事業で、需要に見合う数の端末を市場に供給できなかったためだ。決算報告書によれば、7~9月期のスマホ事業の売上高は478億元(約8566億円)と、前年同期比0.5%のプラスをかろうじて確保。しかしスマホの販売台数は4390万台と、前年同期より6%減少してしまった。
なお、7~9月期の純利益は7億8900万元(約141億円)と、前年同期比84%の大幅減益となった。ただし、これは(サプライチェーン危機ではなく)投資先企業の評価額修正に伴う減損処理が原因だ。一時的な損益を控除した調整後の純利益は51億7600万元(約928億円)と、前年同期比25%増加した。
地方の実店舗網の拡大効果見えず
「7~9月期はサプライチェーン危機が悪化し続けた。次の10~12月期も(供給不足の)影響が続きそうだ」。シャオミの総裁(社長に相当)を務める王翔氏は、決算説明会でそう見通しを語った。
さらに王氏は、中国経済全体の減速傾向はスマホ業界の共通認識になっており、需要サイドも必ずしも順調ではないと指摘。そのうえで、市場全体を俯瞰すれば「供給サイドの問題のほうが需要サイドより大きい」との考えを示した。
シャオミはもともとスマホのオンライン販売を得意としてきたが、中国の地方の小都市や農村部への浸透度を高めるため、2020年から実店舗のネットワークの急拡大を進めている。決算報告書によれば、9月末時点の実店舗数はすでに1万店を超えた。
にもかかわらずスマホの販売台数が伸び悩んでいるのは、(サプライチェーン危機の影響だけではなく)実店舗網の拡大戦略がもくろみ通りの効果を発揮していない表れと言える。この問題について、王氏は次のようにコメントした。
「店を出すばかりでなく、商品をしっかり売れる店に育てなければならない。実店舗網の拡充はもちろん続けるが、同時に(今後は)店舗の売り場面積当たりの販売効率を指標として重視していく」
(財新記者:何書静)
※原文の配信は11月23日
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