深刻な経営危機に直面している中国の不動産大手、恒大集団(エバーグランデ)は12月3日、「目下の資金繰りの状況では、債務返済の履行を継続できるかどうか確定できない」と発表した。デフォルト(債務不履行)が現実になれば、それは同社が海外で発行した総額192億3600万ドル(約2兆1746億円)のドル建て社債のすべてが、クロスデフォルト条項に抵触することを意味する
(訳注:クロスデフォルト条項は、債務者の1つの債務がデフォルトした場合に、その他の債務もデフォルトしたとみなす取り決め)
恒大集団は総額約2兆元(約35兆円)に上る巨額の負債を抱え、2021年の初めから資金繰りが急速に悪化。(売掛金が回収不能になるのを恐れた)建材会社や建設会社、金融機関、(頭金を支払った)住宅購入者などから一斉に債務返済を迫られ、2021年10月以降は社債の利払いにも窮する崖っ縁に追い込まれていた。
そんななか、恒大集団が本社を置く広東省の当局が、危機の連鎖を未然に防ぐための介入に乗り出した。12月3日夜、広東省政府は「リスクを効果的に解消し社会の安定を維持するため、恒大集団の要請に応じ、同社に作業チームを派遣することに同意した」と発表。作業チームの監督下で恒大集団のリスク対応と経営管理を強化し、経営の正常化を図るとした。
「長くは支えられない」との見方も
広東省政府の介入は、市場関係者にとっては予想通りの動きだった。というのも、(中央政府の)金融監督当局が恒大集団の債務危機への対応策をまとめる前から、中国各地の地方政府がそれぞれの地元で恒大集団が手がける不動産開発案件の実態を調べ、準備に着手していたからだ。
なかでも広東省政府は、中央政府の指示により恒大集団の危機対応の先頭に立つ責務を負った。財新記者の取材によれば、広東省共産党委員会の(公安、司法、治安などを所管する)政法委員会が水面下でいち早く動き、恒大集団に対して各地の開発案件の具体的な状況を9月27日午後までに報告するよう求めていた。
今回、広東省政府が作業チームの派遣に踏み切り、当局主導のリスク対応が実行段階に移ったことで、今後は恒大集団の債務危機への対応が混乱を回避しながら進むことが期待されている。だが同社の内情に詳しい関係者は、次のような悲観的な見通しを語った。
「恒大集団の開発案件の多くは(建設会社などに対する)未払い額が大きすぎる。仮に地方政府が部分的な資金援助をしたとしても、長くは支えられないだろう」
(財新記者:陳博)
※原文の配信は12月3日
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