アメリカのEV(電気自動車)大手のテスラは、中国の上海工場の生産能力を増強する。上海市政府の環境情報ウェブサイトで、テスラ中国法人が提出した生産ラインの改修計画の環境アセスメント報告書が開示されたことから明らかになった。
今回の生産能力増強では、組み立てラインや加工設備は既存のものを使いながら、部品のストックヤードと(組み立ての手順通りにあらかじめ部品を並べておく)準備エリアを増設することで、単位時間当たりの生産台数を上乗せする。それに伴い、従業員も4000人増員する。
なお今回開示された情報では、増強計画のより具体的な詳細や、EVの増産台数、投資総額などについては伏せられている。
テスラは2018年、中国政府が乗用車の完成車組み立てに関する外国資本の出資規制の段階的解除に踏み切ったのを機に、上海に進出。外資系自動車メーカーとして初めて、中国に100%出資の完成車工場を建設した。上海工場では2020年1月から現地生産した「モデル3」のデリバリーを開始し、2021年1月からは2車種目の「モデルY」の生産をスタートした。
中国に第2工場を建設との噂も
テスラの2021年7~9月期の決算報告書によれば、上海工場の生産能力は(操業開始からわずか2年で)すでに年間45万台に達し、中国市場向けの生産のみならず欧州や日本向けの輸出拠点になった。同社のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、その立ち上がりのスピードと効率の高さを自画自賛している。
11月3日には、テスラが山東省青島市に第2工場の建設を計画しているという噂が市場に流れた。それに対し、テスラ幹部が「第2工場の建設地を決めたとの情報は事実ではない」と打ち消したが、市場関係者の多くは第2工場の建設そのものは否定しなかったと解釈している。
中国は世界最大のEV市場であり、EV生産に必要なサプライチェーンの厚みでも優位に立っている。例えばテスラ車の廉価グレードである「スタンダードレンジプラス」は、中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が供給する(価格性能比に優れた)リン酸鉄系リチウムイオン電池を搭載する。テスラが中国に第2工場を建設(して輸出を拡大)すれば、中国のサプライヤーの部品も全世界に市場を広げることになる。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月28日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら