中国製の「新エネルギー車」の輸出が急増している。中国汽車工業協会が10月12日に発表した最新データによれば、2021年1月から9月末までに中国から輸出された自動車は前年同期の2.2倍の136万2000台。そのうち新エネルギー車が19万5000台と全体の14%を占め、前年同期の5.2倍に増加した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
「1~9月の自動車輸出が前年同期比で倍増したのは、前年の輸出台数が(新型コロナウイルス流行の影響で)少なかったのが主因だ。それに加えて、中国製のクルマの品質が向上し、国際競争力が高まったことが、輸出の急増を後押ししている」。中国汽車工業協会の副総工程師を務める許海東氏は、そう分析する。
かつて、中国の自動車メーカーが輸出を開始した当初は、中国車の売り物は「低価格」であり、品質は決して高くなかった。だが近年、中国製のクルマの品質は不断に向上を重ねてきた。
「一部の中国メーカーの品質は外資系メーカーと比べても、もはや大きな遜色はない。さらに価格面では優位を維持している」(許氏)
テスラは上海工場からの輸出を拡大
なかでも海外市場で急速に受け入れられつつあるのが、中国製のEVだ。「中国国内ではEVの普及が世界に先駆けて進み、中国メーカーは『先行者』としての強みを磨くことができた。それが自動車先進国である欧州や日本などへの輸出実現につながった」。許氏はそう解説する。
例えばEV大手の比亜迪(BYD)は、すでに(欧州や日本を含む)世界の多くの国々に大型EVバスを輸出している。国有自動車最大手の上海汽車集団が欧州に輸出している「MG(名爵)」ブランドのEV乗用車は、現地市場で好評を博している。新興EVメーカーの蔚来汽車(NIO)は、SUVタイプの高級EV「ES8」の販売をノルウェーで開始した。
(訳注:ノルウェーは新車販売に占めるEVの比率が世界一高く、中国メーカーがこぞって進出している)
さらに、一部の外資系メーカーも中国の工場からEVの輸出を開始している。例えばアメリカのEV大手のテスラは、欧州や日本で販売するEVの一部を上海工場からの輸出に切り替えた。
中国国家発展改革委員会のデータによれば、テスラによる2021年1~8月の中国からの輸出額は前年同期より184億元(約3235億円)も増加。上海工場からの輸出の急拡大を裏付けている。
(財新記者:安麗敏、包志明)
※原文の配信は10月13日
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