ビジネスSNS「リンクトイン」、中国版の提供停止 交流機能省いた「転職アプリ」を別途リリースへ

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リンクトインは、欧米の大手インターネット企業のなかで中国でのサービスを継続してきた数少ない1社だった(写真は同社の中国版ウェブサイトより)

世界最大級のビジネス向けSNS(交流サイト)を運営するアメリカのリンクトインが、中国国内向けのサービスを停止することが明らかになった。

「わが社は従来の戦略を変更し、『転職機会』の提供に集中することを決めた。ユーザーによるオリジナル・コンテンツ配信やユーザー同士の相互交流の機能は廃止する」。10月14日、リンクトイン中国の総裁(社長に相当)を務める陸堅氏は、中国の登録ユーザーに宛てたメールの中でそう述べた。

同じく10月14日、リンクトインは英文版の公式ウェブサイトで、2021年末までに中国向けの新サービス「InJobs(インジョブズ)」をリリースすると発表した。インジョブズは中国専用に新開発された(リンクトインから)独立した転職アプリで、グループ交流機能やユーザー投稿の共有機能は実装されないという。

リンクトインは2003年にカリフォルニア州のシリコンバレーで誕生し、転職情報サービスとユーザー同士の交流機能を併せ持つSNSとして、独自の地位を築いてきた。ユーザーは個人のページで履歴書を公開したり、文章や画像などをタイムラインに投稿したり、ほかのユーザーとメッセージをやりとりしたりすることができる。

中国の「水が合わない」という苦難も

2011年にニューヨーク証券取引所に上場したリンクトインは、2016年にアメリカのマイクロソフトに262億ドル(約2兆9747億円)で買収され、その傘下に入った。中国市場には2014年に参入。同社のウェブサイトによれば、現時点の中国の登録ユーザー数は4500万人を超える。

リンクトインは、欧米の大手インターネット企業の中で中国国内でのサービスを継続してきた数少ない1社だ。しかし、中国での事業展開は海外でのそれに比べて難しい課題を抱えている。圧倒的な市場シェアを持つ騰訊(テンセント)の微信(ウィーチャット)のような「スーパーアプリ」を相手に差別化を図らなければならないうえ、中国の「水が合わない」という問題も克服する必要がある。

(訳注:「水が合わない」とは、政府による厳しいネット検閲やデータ管理など中国独特の経営環境と、欧米ネット企業のユーザー・ポリシーとの折り合いをつけるのが困難なことなどを示唆しているとみられる)

本記事は「財新」の提供記事です

なお、陸堅氏は2019年6月に財新の独占インタビューに応じた際、次のように語っていた。

「われわれは、中国市場において独自のプロダクト戦略を必要としている。その成功のカギは、ユーザー・ベースの規模でウィーチャットと競うことではない。競合先よりも専門性を磨き、ユーザーに対してユニークな価値を提供することなのだ」

(財新記者:杜知航)
※原文の配信は10月15日

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