中国のバイオテクノロジー企業でメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの開発を手がける艾博生物科技(アボジェン・バイオサイエンス)は11月29日、シリーズCの追加ラウンドで3億ドル(約341億円)の資金調達を完了したと発表した。
今回の追加ラウンドでは、日本のソフトバンク・ビジョン・ファンドが中国の老舗ベンチャーキャピタルの五源資本(5Yキャピタル)と共同でリード投資家を務めた。艾博生物科技は2019年創業の新興企業ながら、2021年8月にも7億2000万ドル(約818億円)の投資を得ており、過去半年間の資金調達総額は10億ドル(約1136億円)超えた。
同社は調達した資金の用途について、新型コロナウイルス用mRNAワクチンの臨床試験とその海外展開の加速、AI(人工知能)などの異分野技術とのコンビネーション推進、(新型コロナ用以外の)mRNA技術の研究開発力強化や薬剤ラインナップの拡充、(薬剤の)生産能力拡大および事業化の加速などを挙げた。
第3相の臨床試験を海外でも実施
艾博生物科技にとって目下の最重要プロジェクトは、沃森生物技術(ウォルバックス・バイオ)および中国人民解放軍軍事医学科学院と共同開発した新型コロナ用mRNAワクチン「ARCoV-005」だ。現時点では第3相の臨床試験を中国、ネパール、インドネシア、メキシコで実施している。
ワクチン発売に向けた生産体制や配送手段の準備も進んでいる。沃森生物技術は11月29日、mRNAワクチンの量産設備が同社の子会社内に完成し、保健当局の認可が得られ次第すぐに生産を開始できると明らかにした。
mRNAワクチンは、ドイツのバイオテクノロジー企業のビオンテックとアメリカ製薬大手のファイザーが共同開発した新型コロナ用ワクチンと、アメリカのバイオテクノロジー企業のモデルナが開発した同じく新型コロナ用ワクチンが、2020年末に世界で初めて実用化された。
それらの成功をきっかけに、中国でもmRNAワクチンの研究開発に取り組む新興企業が投資家の熱い注目を浴びるようになった。
艾博生物科技のほかにも、例えば斯微生物科技(ステミルナ・セラピテクス)が2021年6月に2億ドル(約227億円)の資金調達に成功している。だが、同社が開発中のmRNAワクチンはまだ第1相の臨床試験の段階にある。
(財新記者:周信達、王礼鈞)
※原文の配信は11月30日
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