中国の新興家電メーカーの追覓科技は10月20日、総額36億元(約644億円)のシリーズCの資金調達を完了したと発表した。これは中国の小型家電分野の未公開企業が2021年に実施した資金調達のなかで最大規模だ。
資金調達のリード投資家は、中国の大手投資ファンドの華興資本(チャイナ・ルネッサンス)とプライベート・エクイティー・ファンドのCPE源峰が務めた。さらに、既存株主であるスマートフォン大手の小米(シャオミ)、シャオミ創業者の雷軍氏が率いる順為資本(シュンウェイ・キャピタル)、アメリカのIDGキャピタルの3社も、追加の資金提供に応じた。
追覓科技の説明によれば、今回調達した資金は優秀な人材のスカウトや研究開発チームの強化のために投じる。現時点の従業員数は約1800人で、そのうち7割以上をエンジニアが占めているという。
同社は2017年に創業し、自社開発したコードレス掃除機、ロボット掃除機、ドライヤーなどの小型家電製品を「dreame」のブランド名で販売している。2020年の売上高は20億元(約358億円)を超え、2021年は上半期だけで2020年の通期に迫る売上高を達成した。
知財権紛争でダイソンに勝利
投資ファンドなどが追覓科技に注目する理由の1つは、同社が持つ高速デジタルモーターの技術力にある。デジタルモーターは「ブラシレスDCモーター」の別名で、小型・高出力・低騒音などの特徴があり、高性能のコードレス掃除機やロボット掃除機のコア部品として使われている。その生産には高度な製造技術と厳しい品質管理が不可欠だ。
追覓科技の最新型のコードレス掃除機「V16」は、自社開発した毎分16万回転のデジタルモーターを搭載している。これは、イギリスの家電大手ダイソンの最上位機である「V15」の毎分12万5000回転を上回る性能だ。
注目すべきなのは、追覓科技が知的財産権をめぐるダイソンとの複数回の紛争を勝ち抜いてきたことである。2021年9月、天津市第三中級人民法院(地方裁判所に相当)はダイソンが「追覓科技が特許権を侵害した」と主張して起こした訴訟で、特許権の侵害には当たらないとの判断を示してダイソンの請求を棄却した。
さらに、両社は中国国家知識産権局(日本の特許庁に相当)およびドイツのブラウンシュヴァイク裁判所でも知的財産権をめぐる争いを展開していたが、いずれも追覓科技の勝利に終わった。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は10月21日
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