中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が独自開発した基本ソフト(OS)の「鴻蒙(ホンモン)」。それを搭載したデバイスの数が、発表から2年を経て1億5000万台を突破した。同社のコンシューマー製品部門のCEO(最高経営責任者)を務める余承東氏が、10月22日に開催した開発者向けイベントで明らかにした。
鴻蒙はスマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、スマートスピーカーなど多種多様な機器に対応しており、デバイス同士を容易に連携できるのが売り物だ。余承東氏によれば、搭載デバイスの数は2021年末には2億台を超える見込みだという。
ファーウェイは当初、鴻蒙を組み込み型のOSとして開発し、2019年8月に自社製のスマートテレビに初搭載した。その後、2021年6月からはスマホやタブレットにも搭載先を広げた。自社製のスマホやタブレットの旧機種についてもOSを鴻蒙にコンバートできるようにしたため、搭載デバイスの数はそれから3カ月弱で1億台を超えた。
(訳注:ファーウェイ製のスマホやタブレットは、もともとグーグルが開発したアンドロイドOSのオープンソース版を搭載していた。OS変更の経緯については『ファーウェイ「独自開発OS」でアンドロイドに対抗』を参照)
スマホ買い換えで搭載数減少のリスクも
もっとも、鴻蒙の普及は必ずしも順調とは言えない。ファーウェイの自社製デバイスへの搭載は計画以上のペースで進んでいるが、サードパーティー製デバイスへの浸透はまだ十分ではないからだ。
そこでファーウェイは、鴻蒙の用途の幅をさらに広げようとしている。同社の自動車関連事業のトップも兼務する余氏は、「次のターゲットは自動車用のスマートコクピットだ」と語り、自動車メーカーとの協業に意欲を見せた。
さらに、特定業界のニーズに対応させた鴻蒙のカスタマイズ版の売り込みにも注力している。その第1弾として、炭鉱運営のスマート化を支援する「鉱鴻(クアンホン)」を国有発電最大手の国家能源集団と共同開発した。
ファーウェイが鴻蒙の普及を急ぐ背景には、アメリカ政府の制裁強化の影響で、同社製のスマホの販売が激減したことがある。仮にサードパーティーとの協業が思うように進まず、その間に既存のスマホユーザーが他社製のスマホに買い換えてしまったら、鴻蒙の搭載デバイスの数は頭打ちから減少に転じかねないリスクがあるのだ。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は10月22日
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