6月2日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は独自開発の基本ソフト(OS)の「鴻蒙(ホンモン)」を搭載した初のタブレットを披露した。また、100機種以上のデバイスのOSを鴻蒙に入れ替える新戦略も発表した。それによると、6月2日から2022年の前半にかけ、同社の新旧モデルのタブレット、スマートフォン、スマートテレビのOSをすべて鴻蒙に入れ替える。鴻蒙は発表から2年近くを経て、大規模な商用化の段階に入った格好だ。
ファーウェイが鴻蒙の開発を迫られたのは、アメリカの制裁に対応するためだ。2019年にアメリカ商務省がファーウェイをエンティティ―・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に追加したことで、グーグルはファーウェイとの協力関係を停止した。そのため、ファーウェイは自社のスマホにグーグルが開発したOSである「アンドロイド」の旧バージョンしか搭載することができなくなった。
鴻蒙の開発にあたっては、アンドロイドとアプリの互換性を持たせて、搭載できるデバイスの幅を広げることを目標にした。オープンソース版のアンドロイドのソースコードの一部を使用することで、アンドロイド用のアプリ開発を手がけるプログラマーの大多数が、(アンドロイド用に作ったアプリを)鴻蒙にスムーズに対応させることが可能となった。
ライバルのスマホメーカーは受け入れがたい
今後の課題は、サードパーティー製のデバイスへの鴻蒙の搭載を広げることだ。アンドロイドは主にスマホ向けに利用されている一方で、鴻蒙はあらゆる種類のデバイスをネットにつながるようにするという、より大きなビジョンを描いている。
しかし、ファーウェイのライバルのスマホメーカーにとっては、鴻蒙の自社製品への搭載は受け入れがたい状況だ。アメリカの調査会社、ストラテジー・アナリティクスのアナリストである隋倩氏は「スマホ市場ですでに競合関係にあることから、ほかのスマホメーカーは鴻蒙を当然採用しない」と語った。そのうえで隋氏は、「グーグルのようにハードウェアには力点を置かず、サードパーティーへのソフトウェア・システムの提供を中心にしない限り、ファーウェイが競合他社の疑念を打ち消すことは難しい」と指摘した。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は6月4日
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