中国株式市場の相場上昇に伴う取引の活発化で、信用取引残高が急増している。6月1日時点の残高は1兆7349億1100万元(約29兆8231億円)に達し、2015年7月以来、約6年ぶりの高水準を記録した。
信用取引残高とは、投資家が証券会社から融資を受けて株式を買い入れた取引と、証券会社から株式を借り入れて株式を売却した取引(空売り)のうち、未決済の残高の額を合算したものである。
注目すべきなのは、信用取引残高の構成比の変化だ。2015年当時は、空売りの残高は100億元(約1719億円)にも満たず、信用取引残高に占める割合は1%未満だった。ところが2020年3月以降、空売りの残高が目に見えて増加している。2021年6月3日時点の空売りの残高は1520億500万元(約2兆6129億円)と、その比率は8.76%に上昇した。
だが、空売り取引の拡大には依然としてボトルネックが存在する。証券業界の内情に詳しい関係者は「株式の貸し手の不足と高すぎる手数料が、信用取引の発展を阻害している」と語った。
この関係者によれば、証券会社が株式の貸し手を確保するには「自ら株式を購入して貸し手となるほか、投資ファンドと良好な関係を築いて貸し手になってもらう、上場会社の機関投資家以外の株主との人脈を自分たちで開拓するなど、ありとあらゆる手段を使う必要がある」という。
空売り取引の流動性の管理が大きな課題
空売りに関する証券会社のもうひとつの課題は、取引の流動性のリスク管理だ。「株価がストップ高になると、顧客は証券会社から借りて売却した株式の買い戻しができず、期限内に返却できない。そうすると証券会社も株式の貸し手に返却することができず、債務不履行(デフォルト)に陥りかねない」と、前出の関係者は指摘する。
ただし、空売りの顧客の9割以上は(証券会社の上顧客である)機関投資家および潤沢な資金力を有するプロの投資家だ。業界内では、空売り取引の環境整備は資本市場のさらなる発展のためのカギであるとの認識が主流になっている。「証券会社は空売り取引を担当する人材の育成とリスク管理の強化に十分な経営資源を投入すべきだ」と、この関係者は強調した。
(財新記者:劉彩萍)
※原文の配信は6月4日
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