“究極のブラックスワン”が飛来した。世界最大の先物商品である原油は、3月初めから、その歴史的な暗黒の瞬間が訪れるまで暴落し続けた。
北京時間4月21日未明(アメリカ時間20日午後)、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)先物原油5月限(ぎり)の清算値が、一時1バレル=-40.32ドル(320%安)まで暴落した。原油価格とその下落幅のどちらに関しても歴史的な出来事だ。この日、最終的にWTI5月限の清算値は1バレル=-37.63ドルとなった。
WTI5月限とは西テキサス地方の軽質原油の5月の先物取引という意味で、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場している。WTIは良好な流動性、価格に関する高い透明性、最大の建玉数を誇る国際原油市場における3大基準価格の1つである。
銀行に預けていた保証金が一夜でゼロに
4月22日、中国銀行の“原油宝”(訳注:原油先物契約に連動する小口の投資商品)に投資していた多くの投資家は、WTI先物5月限の収益が大幅にマイナスになっていることに気がついた。銀行に預け入れていた保証金が一夜にしてゼロになったのだ。
さらに投資家は中国銀行から多額の保証金を求められ、中国銀行は「この件に関する延滞は個人信用調査に影響を及ぼす」と表明した。この出来事はすぐに大きな騒動に発展した。同日夜8時、中国銀行は声明で、当該商品の合規性を強調したが、顧客に対し引き続き保証金を求めるかどうかというセンシティブな問題についての言及は避けた。
財新の取材に応じたある投資家は、「(保有する)ポジションの平均価格は184.73元(1元は約15円)で、中国銀行が報告した終値は-266.12元だった」と述べる。彼は5万元分の“原油宝”を購入したが、現在の評価損益は-12.98万元になっている。つまり銀行に約8万元もの“借金”をしていることになる。
“原油宝”とは中国銀行の“紙原油”(訳注:帳簿上で取引されている原油連動の投資商品)の名称だ。現行の銀行規則に従うと、商業銀行は先物取引に直接参加することはできない。“紙原油”の基本原理は、個人投資家が銀行と取引を行い、原油商品の売買を実現するというものだ。
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