テクノロジー界において、”投資の神”のような人物とされるソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義。今まさに未曾有の困難に直面している。ライドシェアの「ウーバー」やシェアオフィスの「ウィーワーク」など、相次ぐ大規模投資の結果が冴えず、世界の証券・金融業界から改めて実力を問われているのだ。
孫正義は「勘定は大雑把だが自信満々」
多くのPE(プライベートエクイティ)業界関係者は、孫正義の投資手法を「PEの資金規模でVC(ベンチャーキャピタル)のように投資する」と総括。次のように評価している。
「巨額の資金で業界ライバルを制圧し、マーケットシェアを奪ってきた。孫正義のギャンブル道は、勘定は大雑把だが自信満々だ
彼の最大の成功は、2000年のアリババグループへの投資にほかならない。創業間もないECスタートアップのアリババに2000万ドル(約20億円)を出資すると決断した際、デューデリジェンス(訳注:投資対象の資産価値などの詳細な調査・分析)をいっさい行わなかった」
約20年後の昨年6月時点でソフトバンクグループはアリババの26%の株式を保有している。アリババの足元5200億ドル超の時価総額から単純計算すると、その価値は1400億ドル(約14兆円)近い。
「この成功が、リスク無視の乱暴な投資スタイルの確立を後押しした。ソフトバンクグループは投資先企業への支配権を強く求める。さらにライバル企業を押しのけるため、スタートアップの企業評価額を吊り上げることが多い。高成長を期待して、類似企業との合併を仲介することも好む」(PE業界関係者)
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