中国の新興電池メーカーの蜂巣能源科技(SVOLT)は7月30日、102億8000万元(約1745億円)のシリーズBの資金調達を完了したと発表した。リード投資家は国有銀行大手、中国銀行の傘下にある投資会社の中銀集団投資だ。今回調達した資金は、新技術の研究開発と生産能力の拡張に充てるとしている。
SVOLTは、中堅自動車メーカーの長城汽車の電池開発部門がスピンオフして2018年に誕生した。そうした経緯から、長城汽車の董事長(会長に相当)を務める魏建軍氏が大株主になっている。今回の資金調達のフォロー投資家には、建信金融資産投資、IDGキャピタル、湖州海松基金などの投資ファンドや、国家科学技術成果転化基金の関連ファンドのほか、建設機械大手の三一重工やスマートフォン大手の小米(シャオミ)なども名を連ねた。
電池業界のデータによれば、2021年上半期に生産されたEV(電気自動車)などに搭載されたSVOLTの車載用電池は0.84GWh(ギガワット時)で、市場シェアは1.6%、企業別のランキングは8位だった。なお首位の寧德時代新能源科技(CATL)のシェアは49.1%、2位の比亜迪(BYD)は14.6%、3位の韓国のLG化学は9%を占めた。
新興企業であるSVOLTは、先行するライバルとの激しい競争に直面している。そこで同社は、リン酸鉄系や三元系など主流のリチウムイオン電池だけでなく、新技術にも果敢に挑戦している。希少金属のコバルトを使わないコバルトフリー電池と、三元系より複雑な化学組成を持つ四元系電池の開発計画を2019年に発表。コバルトフリー電池は2021年7月から量産を始めており、四元系電池は2022年の量産実現を目指す。
ステランティスから2700億円の受注も
目下のところSVOLTの主要顧客は長城汽車だが、SVOLTのCEO(最高経営責任者)を務める楊紅新氏によれば、その他の企業からも多数の引き合いがあるという。具体例としては、欧州自動車大手のステランティスから160億元(約2715億円)の受注を獲得した。ステランティスは2021年1月、フランスのグループPSAと欧米のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が経営統合して発足した企業だ。
受注拡大に対応するため、SVOLTは江蘇省常州市、四川省遂寧市、浙江省湖州市、安徽省馬鞍山市、江蘇省南京市、およびヨーロッパなどでの新工場の建設や生産能力の増強が急務になっている。2025年までに、年間生産能力を200GWh以上に引き上げることを目指している。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は7月31日
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