ドイツの高級車メーカーのアウディが中国で計画しているEV(電気自動車)の現地生産プロジェクトが、中国政府の許認可の遅れにより足踏みしていることがわかった。11月29日、ドイツの自動車専門メディアの『アウトモビルウォッヘ』が、アウディ関係者からの情報として報じた。
この報道によれば、ドイツ経済エネルギー省の後押しにより、プロジェクトは中国の所管当局の許認可を12月中に得られる可能性があるという。アウディの中国法人は11月30日、財新記者の照会に対して「関係する各方面が緊密なコミュニケーションを取っている」とコメントした。
アウディは2020年10月、中国の国有自動車大手の中国第一汽車集団(一汽)と高級EVを共同生産することに合意し、覚書を結んだ。2021年3月には合弁会社の「アウディ一汽新能源汽車」を新たに設立、資本金の60%をアウディおよび親会社のフォルクスワーゲン(VW)が、40%を一汽が出資した。つまり、合弁会社の経営権を(外資である)アウディ側が握ったということだ。
外資規制緩和で合弁会社を新設
中国の自動車産業では、中国政府が1994年に施行した外資規制が20年余りにわたって維持されていた。外資系メーカーが乗用車を現地生産する場合、中国メーカーとの合弁が義務づけられ、外資側の出資比率は50%以下に制限された。しかし2018年4月、中国政府はこれらの規制を段階的に緩和し、5年以内に全廃すると発表した。
そして、規制緩和の最初の対象に選ばれたのがEVなどの「新エネルギー車」だった。これを受けて、2018年7月にはアメリカのEV大手のテスラが、100%出資の現地法人による工場建設を上海市で開始した。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
アウディがEV生産のために新たな合弁会社を立ち上げたのも、この規制緩和が背景だ。一汽と結んだ覚書によれば、アウディとポルシェが共同開発したEV専用車台「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック」をベースにした(中国市場向けの)新型車を開発し、2024年に量産を始める計画だった。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は12月1日
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