中国の家電大手の海信集団(ハイセンス)が、ドイツの産業システム大手、シーメンスの高度交通システム(ITS)事業の買収を目指していることがわかった。11月17日、海信集団に近い複数の関係者が財新記者の取材に応じ、同事業の買収に「10億ドル(約1144億円)近くを投じる用意がある」と明かした。
シーメンスは鉄道の車両や運行管理システム、道路交通システムなどの世界的大手で、中国市場でも高速鉄道を含む交通分野の多数のプロジェクトに参画している。ITS事業は交通システム部門のシーメンス・モビリティの傘下にあり、鉄道や道路向けの照明システム、監視カメラ、レーダー、料金システムなどのハードやソフトの開発を手がけている。
近年、シーメンスは事業構造のスリム化を進め、ビジネスの重点を製造業のデジタル化に移しつつある。2017年に医療機器などのヘルスケア事業を分社化し、2020年には発電設備などのエネルギー事業を分社化した。
複数の売却先候補を選定との噂も
ITS事業も2021年7月に分社化され、新会社はユネックス・トラフィックと命名された。社名からシーメンスが外れたことから、「ITS事業を売却する準備ではないか」との臆測が市場に広がった。
最近になり、シーメンスがすでにユネックス・トラフィックの複数の売却先候補を選定したという噂も流れている。これについて前出の海信集団の関係者は、「われわれには入札参加の意思があるが、シーメンスとの合意にはまだ至っていない」とコメントした。
海信集団は家電メーカーのイメージが強いものの、実は子会社の海信網路科技を通じてITS分野に早くから参入し、多数の実績を上げている。「わが社のITS事業は長年にわたり中国国内トップの座にある」。海信集団の総裁(社長に相当)を務める賈少謙氏は、2021年10月に同社が開催したイベントでそう胸を張った。
なお、ユネックス・トラフィックの売却について財新記者はシーメンス・モビリティと海信集団の広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
(財新記者:鐘騰達、翟少輝)
※原文の配信は11月17日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら