中国の家電大手、海信集団(ハイセンス)の海外事業が好調だ。同社の2021年1~9月期の海外売上高は526億元(約9410億円)と、前年同期比38%の大幅な伸びを達成した。
その結果、1~9月期の総売上高に占める海外比率は42%に上昇。海信集団の賈少謙総裁(社長に相当)は10月20日に開催したイベントで、「海外売上高は3年以内に国内売上高を超える可能性がある」と語った。
海外事業を牽引するのは傘下の2社の上場子会社だ。その1社の海信視像科技(ハイセンス・ビジュアル・テクノロジー)はテレビなどの映像機器を、もう1社の海信家電集団(ハイセンス・ホーム・アプライアンス・グループ)は冷蔵庫やエアコンなどの白物家電を主力にしている。なかでも海信視像科技は、2021年1~6月期の海外売上比率が57.6%に達し、すでに国内売上高を上回っている。
中国の家電大手のなかで、海信集団は早くから海外事業の拡大に力を入れてきた1社だ。同社の董事長(会長に相当)を務める周厚健氏は、17年前の2004年に「われわれの将来の成長機会は主に海外市場にある」と発言し、海外展開の加速を号令。海信集団は今や50カ所近くの研究開発拠点や生産拠点を海外に構えるまでになった。
2018年に東芝のテレビ事業を買収
特に近年の海外事業の急成長は、外国企業のM&A(合併・買収)によるところが大きい。2018年にヨーロッパの調理家電・白物家電大手のゴレニアを傘下に収め、同じ年に日本の東芝のテレビ事業も買収した。
「M&Aは事業や地域基盤の拡大だけでなく、海信集団の技術や製品分野の弱点を補強するための重要な手段だ」。10月20日のイベントでメディアの取材に応じた賈総裁は、M&A戦略の狙いについてそう述べた。
もっとも、海外事業のさらなる成長には課題もある。賈総裁は、目下の事業環境について次のように語った。
「2020年以降、原材料価格の値上がりが続いて当社の利益を圧迫している。さらに、新型コロナウイルス流行の影響で(製品や部品を輸出するための)海上輸送が逼迫し、国際物流コストが高騰していることも、海外事業の頭痛の種だ」
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は10月21日
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