中国ファンドが「フィリップス」家電事業を買収 高瓴資本、ブランド使用料含め約5660億円で

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フィリップスは家電事業の売却先として同業他社ではなく投資ファンドを選んだ(写真はフィリップスの中国向けウェブサイトより)

オランダの医療機器・ヘルスケア大手のフィリップスは3月25日、同社の家電事業を中国の投資ファンド大手の高瓴資本(ヒルハウス・キャピタル)に37億ユーロ(約4760億7900万円)で売却すると発表した。

双方は取引完了後の家電部門が引き続きフィリップス・ブランドを使用することにも合意した。ブランドの授権期間は15年、使用料は約7億ユーロ(約900億7000万円)。つまり、高瓴資本が今回の買収に投じる総額は約44億ユーロ(約5661億4800万円)となる。

フィリップスは家電事業の売却を検討していることをすでに2020年1月に公表していた。その後、中国のテレビ大手のTCL科技集団、エアコン大手の格力電器(グリー)、調理家電大手の九陽(ジョヤング)など複数の家電メーカーが買収の意向を伝えていたが、最終的にフィリップスが選んだのは高瓴資本だった。

もともと欧州を代表する総合電機メーカーだったフィリップスは、近年は市場や産業構造の変化に対応できず、テレビや携帯電話などの消費者向け製品や半導体、照明器具などの事業を次々に売却または分離してきた。

格力電器の株式の15%を取得

現在、フィリップスは自らを医療・健康分野のテクノロジー企業と位置付け、診断・治療用の医療機器、パーソナルヘルス、コネクテッドケア(訳注:病院、患者、行政、保険会社など医療制度に係わる各主体の情報共有を進める技術)という事業の3本柱に集中している。

今回売却を決めた家電事業はパーソナルヘルス部門の傘下にあった。その製品は小物家電が中心で、コーヒーメーカーなどのキッチン家電、スチームアイロンなどの衣類ケア家電、掃除機などの清潔家電が含まれている。

本記事は「財新」の提供記事です

買収する側の高瓴資本にとって、家電事業への投資はこれが初めてではない。2019年に格力電器の発行済み株式の15%を総額416億6200万元(約6945億550万円)で当時の親会社から取得し、筆頭株主となっている。

だが、その後の格力電器の経営には口を挟んでいないもようだ。フィリップスの家電事業を買収後、高瓴資本がどんな動きを見せるか注目される。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は3月26日

財新 Biz&Tech

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