中国では春の訪れとともに、昨秋から局地的に発生した新型コロナウイルスの流行が基本的に収束した。4月6日に発表された2021年3月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は、消費者心理の大幅な改善を受けて54.3に上昇。前月(51.5)より2.8ポイント急伸し、2020年12月から3カ月続いた景気回復のペースダウンに終止符を打った。
一方、4月1日に発表された3月の財新製造業PMIは50.6と、好不況の判断の目安とされる50は上回っているものの、2020年11月から4カ月連続の低下となった。サービス業と製造業のPMIが相反する傾向を示した理由は、局地的な新型コロナ流行が収束したことの恩恵が、製造業よりもサービス業に顕著に表れたためと見られる。
サービス業の需要と供給は拡大基調を11カ月連続で維持し、3月の拡大ペースは前月までより大きく加速した。ただ、旺盛な内需に比べて外需の回復は遅れており、サービス輸出の新規受注指数は2カ月連続の縮小基調となった。調査対象企業からは、「海外からの受注は引き続き新型コロナの負の影響を受けている」との声が寄せられた。
インフレ圧力の高まりが懸念材料
中国国内の景況感の改善で、サービス業の雇用にはプラスの影響がくっきり表れた。3月の雇用指数は前月比3ポイントを超える上昇を示し、縮小基調から拡大基調に転換した。言い換えれば、新規受注の急増に対して人手の確保が後手に回っている状況だ。
そんななか、3月のサービス価格指数は9カ月連続の上昇を記録。原材料、人件費、エネルギーなどの値上がりが止まらず、コストプッシュ型のインフレ圧力が高まっていることを示唆している。
とはいえ現時点では、サービス業の経営者は今後の景気回復や新型コロナの封じ込めに強い自信を抱いている。向こう12カ月間のサービス業の楽観度を示す指数は、3月は10年ぶりの高水準に上昇した。
「サービス業と製造業では3月の景況感に温度差が生じたが、どちらも回復基調を維持しているのは変わらない。これから注視すべきなのはインフレの動向だ。インフレ圧力が高まり続ければ、景気回復の持続に悪影響をおよぼしかねない」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は4月6日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら